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高森明勅
2021.8.4 13:15皇統問題

旧宮家系男性らの人生に僅かでも敬意を払ったらどうか

国民が期待した皇位の安定継承には背を向けた有識者会議。
「事務局において制度的、歴史的観点等から調査・研究を行うべき事項」
にはこんな項目も。

養子縁組プランを巡り、「皇位継承資格があるとする場合、順位をどうするか」。

これは、皇位継承資格が“無い”場合も、普通に想定している事実を示す。
しかし、養子縁組で皇族の身分を新たに取得するというプランそのものの
妥当性や実現可能性とは別に、そのようにして皇族の仲間入りをすることは、
国民としての自由や権利をほぼ全面的に断念することを意味するはずだ。

当事者に、一方ではそれだけの犠牲を求めながら、もう一方で、
「男系主義」に固執する以上(養子縁組プランの前提はそれだ)、
男性皇族にだけは当然与えられるはずの皇位の継承資格が、
養子には与えられない場合も想定しているというのは、
余りにも本人の人格を無視するやり方ではないか。

それでは露骨に、ただ目先の人手不足を解消する為だけ、
ないし「男系男子」の子孫をもうける為の皇籍取得という話になってしまう。
極めて非人道的なプランと言う他ない。

対象となる旧宮家系男性、国民の中に数多くいる皇統に属する
男系の男子の人生を、一体どう考えているのだろうか。
養子縁組プランは、当事者が皇位継承資格を持つことを前提に、
その是非を判断すべきだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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