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高森明勅
2021.7.12 10:14皇統問題

日本人は、皇室の方々か国民か、そのどちらかだけしかいない

日本国憲法第14条は“国民平等”の原則を定めている。
その条文は以下の通り。

「①すべて国民は、法の下に平等であつて、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

②華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③栄誉、勲章その他の栄典の授与は、現にこれを有し、
又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する」

従来、憲法改正を巡る論議は繰り返し行われて来たものの、
この条文の改正が声高に語られたことは、ほとんど無いだろう。

この条文の例外は、憲法第1章の適用を受けられる
天皇・上皇・皇族方のみ。
例外扱いが可能なのは、憲法それ自体が「世襲」の「象徴」天皇制度を
定めているからだ。
憲法上、日本人(日本国人)は皇室の方々(第1章の適用、皇統譜に登録)と
国民(第3章の適用、戸籍に登録)によって構成されている。
必ず、その“いずれか”に属するのであって、その中間とか、
両方に属することはない。

“中間の身分”は、同条②項により、明文で否定されている。
昨日まで皇族であられた内親王・女王が、国民男性とのご結婚によって
皇族の身分を離れられた場合、「国民」の仲間入りをされるのであって、
両方に属したり、両者の中間的な身分になられたりするのではない
(登録先も皇統譜から戸籍に変更される)。

昨年、政府がご結婚によって皇籍を離れられた元内親王・元女王方に、
引き続き皇室のご活動を支援して戴く「皇女」案なるもの
(ネーミングからして無知丸出し!)を検討していることが、
報じられた。

その時に私は、皇位の安定継承には何ら寄与せず、
あまつさえ“国民平等”の原則に反すると、厳しく批判した経緯があった。
同条①②項に照らして、憲法上、全くあり得ないプランだったと言う他ない。
ましてや旧宮家案の場合、純然たる“国民”であるばかりか、
既に国民として“世代を重ねた”人々が対象だ。
憲法上、益々あり得ないと言うべきだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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