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笹幸恵
2021.7.3 18:25日々の出来事

「よしりん十番勝負」を見ながら思ったこと。

東浩紀さん、三浦瑠麗さんを迎えての
「よしりん十番勝負」、非常に楽しく
拝聴しました。

議論を聞いていてまず強く感じたのは、
日本の自称リベラルが完全にエセだったということ。
原発問題や皇統問題でもそうだったように、
さまざまな事象に対してもはや「保守とリベラル」という
構図で語ることが難しくなっている。
結局のところ、これまで保守とは何か、リベラルとは何かを
突き詰めて思想しないままにそれを自称し、
それぞれがそれぞれの村の掟にしたがって
発言していただけなのだということが、
否応なく白日の下にさらされた、
ということなのだと思う。
議論の過程でそれが詳らかになっていくことが
とても興味深かった。

そして東さんがおっしゃっていた「20世紀型」と「21世紀型」の分類。
これ、おもしろかったな~。
居酒屋で酒を飲んで口角泡を飛ばして議論をする人は、
乱暴で下品で野卑・・・そう見なされる時代が来るかも!?
爆笑しながら聴いていたけれど、これまでのタバコへの
抑圧っぷりからすると、あながち笑い話ではないかもしれない。
ただ、それでも人間は完全には合理的になれないのだから、
そんな社会では逆にマイノリティとしての酒飲みの結束が
固くなりそうだ。
どちらにしても、こうした社会って健全ではない(本能的ではない)し、
タテマエとホンネ、オモテとウラの乖離が大きくなっていくだろう。
軍隊の員数主義と同じで、完璧でクリーンな管理社会は、
それ自体が最初からいびつさを内包していると思う。
(と思うのが20世紀型なのか!?)

大学の話も個人的にはとても勉強になった。
オンラインのほうがいいやっていう教員がいることがまず驚き。
そういう理屈か~~というのが、また驚き。
だけど三浦さんが指摘されていたように、それだと
どんどん予備校講師になっていくし、
いずれAIでいいじゃん、ってことになっていく。
本当にその通りだと思う。
一方通行で知識を伝えるだけなら、AIのほうが完璧だ。
でもそれでは、偶然の出会いや気づき、想像もしていなかった
思想や視野の広がりを学生は未来永劫、得られない。
それらも含めた人間的な成長こそが、いずれ教養として
その人を形づくっていくものだと思うけど。
私は単に基礎科目を一つ持っているだけの非常勤だけど、
それでも学生には授業を通して何らかの「気づき」が
あってほしいと思うし、そのためにはオンラインでは
ダメなのだということを大学側にも切々と訴えた。
大学側がわかってくれているのかどうかはわからない。
大学には大学の事情もあるのだろうし。
せめて自分が対面した学生で、年に一人や二人でも
何らかの「気づき」を得てくれていたら御の字、
そういう気持ちでやっていくしかないのかもしれない。

いずれにしても、コロナにとどまらない思想の広がり、
存分に楽しませていただきました。
「人間が生きる」って、どういうことだろうね。
それをさまざまな観点から浮き彫りにしていく議論
だったのではないかと思います。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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