皇位の安定継承を目指す有識者会議。
ヒアリングを続けている。
その場での、同会議メンバーによる
ヒアリング対象者への質問の仕方が、興味深い。
「(岩井克己氏に)『(同氏が提案する一代限りの)
内親王家』を創設する場合に、対象となる皇族の
意思についてはどう考えるか」
(答え=複数の選択肢を用意し、
全員が辞退されたら困るが、それはその時に考える)
「(笠原英彦氏に)憲法第2条の『世襲』と
認められる範囲について、具体的にどう考えるか。
昭和22年に皇籍を離脱した、いわゆる11宮家の
方々はこの範囲に入ると考えるか」
(答え=〔歴史上、最も天皇との血縁が遠かった〕
継体天皇でも5世、旧宮家系の対象者は20世以上だから、
範囲に入るかやや疑問)
「(櫻井よしこ氏に)具体的に旧宮家の方々の
養子縁組について御提案をいただいたが、
皇族の側でどなたが養子縁組の当事者になるか。
具体的なお考えがあればお聞かせいただきたい」
(答え=既に廃絶した宮家〔!〕に、
家族養子として入り、絶えた宮家を継ぐ…??)
「(新田均氏に)過去の歴史の中には女性天皇が
存在しており、男系の女子が天皇になることを
認めてもよいという意見もあるが、どう考えるか」
(答え=歴史的に見れば可能。
但し、皇位の安定継承への本質的な解決にはならない)
「(八木秀次氏に)一般の国民からすると、
70年間民間人として暮らしてこられた方について、
皇族として国民から受け入れられるのかという
意見があるが、どのように考えるか」
(答え=専門家が皇位継承の仕組みを正しく説明し、
知識の無い国民に理解してもらうことが必要)
「(同氏に)国民は、皇室について知識として
知らなくてもその姿をメディアを通じて
見てきてイメージを持っている一方、
旧宮家についてはまったく分からず
イメージを持てていない。
…八木先生がおっしゃることと、
こうしたイメージや世論との差を埋めていくには
どうすればよいか。
天皇・皇室は敬愛の対象であるという共通認識が
国民にある中で、旧宮家についてどのように
国民に伝えていけばよいとお考えか」
(答え=具体的なイメージも大切だが、
長年続いて来たシステムを変える必要があるのか。
…答えになっていない)
このように見ると、メンバーからは
至って真っ当な質問が出されている、
と言ってよいだろう。
「(当事者である)皇族」と「(幅広い)国民」
の視点に配慮しようとする姿勢は、
共感を持てる。
それに対し、十分とは言えない回答も
見受けられるのは、残念だ
(八木氏の場合、ご本人にも自覚があるらしく
「直接、質問にお答えできたか分からないが」
と付け加えておられた)。
【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
BLOGブログ