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徒然草気まま読み#128
「祟りを怖れるな」
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今回扱うのは、第二百七段。
全文を紹介すると…
龜山殿〔嵯峨龜山の仙洞御所〕建てられむとて、地を引かれけるに、大きなる蛇(くちなは)數もしらず凝り集りたる塚ありけり。この所の神なりといひて、事の由申しければ、「いかゞあるべき。」と敕問ありけるに、「ふるくよりこの地を占めたるものならば、さうなく掘り捨てられがたし。」とみな人申されけるに、この大臣一人、「王土に居らむ蟲、皇居を建てられむに、何の祟りをかなすべき。鬼神は邪なし。咎むべからず。唯皆掘りすつべし。」と申されたりければ、塚をくづして、蛇をば大井川に流してけり。更にたゝりなかりけり。
天皇の御所を建てるための
地ならしをしていたところ、
大きな蛇がうじゃうじゃいる塚があった。
蛇を神として崇め怖れる信仰から、
これを掘って捨てることは憚られると、
誰もが言っていたが…
中世の人は誰もが迷信深かったかというと、
そんなことはない。
合理的な考え方をする人はこの時代にもいたし、
もっとさらに時代をさかのぼっても
合理的な人がいたことが、文献に残されている。
逆に現代が合理的な人ばかりかというと、
決してそんなことはないわけで…