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高森明勅
2021.3.29 06:00皇統問題

「保守」知識人の皇室バッシング

皇室を敬愛し、今後の末永いご発展を願う者にとって、
どうしても見逃せないのは、これまで繰り返されて来た
皇室への心ない“バッシング”だ。

中でも、「保守系」知識人による執拗な誹謗中傷が
幾度も行われて来た事実は、異常と言う他ない。

例えば、(個人的には、以前に些かご縁があったので、
ここで取り上げるのは少し気がひけるが)西尾幹二氏。

月刊誌『WiLL』平成20年5・6・8・9月号に
「皇太子さまに敢えて御忠言申し上げます」シリーズを書き続けた
(“忠言”とは真心を尽くして諌める言葉、又はその事)。
「御忠言」という殊勝なポーズは、タイトルだけの話。
中身は、確かな事実に基づかないで、不遜、不敬な言辞を
連ねたものだった。
悪質なバッシングに悩まれ、長いご療養を続けておられた
皇后陛下(当時は皇太子妃)に対し、ご公務が果たせないなら、
実家が「引き取るのが筋」(小見出し)と言い放ち、
「天皇制度の内部に入ってそれを内部から少しずつ崩して
いるいわば獅子身中の虫」と迄、極言した(5月号)。
あろうことか、皇后陛下を名指しして、“獅子身中の虫”と
断罪したのだ。
その上で、皇室ジャーナリストの松崎敏彌氏の
「場合によっては秋篠宮への皇統の移動も視野に入れる
必要がある」との、まさに“廃太子”を企むに近い言葉を
わざわざ引用して、自らの本心を滲ませた。

同氏は、天皇陛下をはじめ皇室の方々を「彼ら」
呼ばわりした上で、遂に以下のような“恐ろしい”発言を行った。

「私は皇太子ご夫妻(天皇・皇后両陛下)が…皇族としての
ご自覚にあまりにも欠ける処があることをはっきり申し上げた。
国家ということ、公ということをお忘れになっていないか。
日本の国民と一緒に共感共苦するお心ざしがあまりにも
乏しいのではあるまいか。
一口で言えば『傲慢』の罪を犯しておられるのではないか。

…『国難』について私は語ってきたつもりだ。
それは皇太子妃殿下(皇后陛下)の心に宿る『傲慢』の罪に
由来すると見た」(6月号)引用することすら申し訳なく、
畏れ多くて、憚られるような暴言だ。
これほど迄の「『傲慢』の罪」を、私は他に余り見たことがない。

これらの記事が載った時の同誌の編集長は、花田紀凱氏。
かつて、『週刊文春』が上皇后陛下(当時は皇后)への
バッシングを繰り返し、果てに上皇后が悲しみとお疲れの
余りお倒れになり、半年もの間、失声症に苦しまれた時の
編集長も同じ人物。
又々「売れるので続けたと思います」
(その頃、『週刊文春』編集部にいた人物)だったのか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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