退位特例法の附帯決議に応える為の有識者会議。
専門家へのヒアリングを行う際に、10の“聴取項目(案)
”を設けている。その9番目は以下の通り。
「皇統に属する男系の男子を下記①又は②により
皇族とすることについてはどのように考えるか。
その場合、皇位継承順位についてはどのように考えるか。
①現行の皇室典範により皇族には認められていない
養子縁組を可能とすること。
②皇統に属する男系の男子を現在の皇族とは
別に新たに皇族とすること」この項目が“9番目”に位置付けられていること自体、
同会議のスタンスを示しているだろう。
ちなみに、10番目は「対応方策として、そのほかにどのようなものが
考えられるか」。
だから、具体的な設問としては“最後”に置かれていることになる。
「復帰」という間違った言葉ではなく、「新たに皇族とすること」と
書いているのは当たり前ながら、正確だ。しかし、気になるのは、「(皇族ではない)皇統に属する男系の男子」
という漠然とした表現が使われている点。
小泉純一郎内閣の時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書では、
「昭和22年に皇籍を離れたいわゆる旧皇族やその男系男子子孫」と
限定的に表現されていた。
それが“敢えて”変更されたのは、特別な理由があるのか。いわゆる旧宮家系男性“以外”にも、国民の中に「皇統に属する男系の男子」
は多くいる。
それらの人達も対象に加えようとしているのか。
例えば、江戸時代の天皇(後陽成天皇や東山天皇)のお子様が
摂関家(近衛家・鷹司家・一条家)の養子に入ったケースがある。
その系統の人物が何人も(何十人も…か?)知られている。
その1人は「大阪北新地でワインバー…を経営している」(八幡和郎氏)とか。又、明治以降、16名ほど男性皇族が臣籍降下されている
(うち2名は非嫡出で皇籍になかったので厳密には臣籍降下
ではないが、皇統に属する男系の男子であるのは同じ)。
その子孫の系統も対象になり得るのか、どうか。
そうやって広げるならば、対象者はほとんど際限なく拡大するだろう。
そうなると、皇室と国民の「区別」は当然、曖昧にならざるを得ない。
皇室の尊厳、「聖域」性も揺らぐことになろう。
しかし、上記の設問では、対象者を限定する“線引き”が、
原理的に困難ではあるまいか。【高森明勅公式サイト】
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