皇位の安定継承を目指してどのような制度改正を図るべきか。
現下の日本で、これほど重大かつ緊急の対応を求められている課題は、
他にあるまい。にも拘(かか)らず、今回の有識者会議のメンバーの顔ぶれを拝見すると、
課題の重さに対して、失礼ながら、いささか“軽量級”という印象を免れない。
テーマの切実さ故に、逆にメンバーに加わるのを尻込みした人も、
決して少なくなかっただろうと想像できる。
その意味で、敢然とメンバーにお名前を連ねられた皆さんには、
敬意を表すべきかも知れない。但し、これらの方々が、専門家からのヒアリングを経て、
どのような報告書をまとめられたにせよ、それによって従来の考え方の違いが、
にわかに一本化するとは期待しにくい。
今から報告書の内容を予想するのは、早すぎるし、失礼にもなろう。
だが、敢えて率直に今の時点での見通しを述べるなら、
両論併記でお茶を濁す可能性が高いのではないか。その場合、政府としては現実的な選択肢からとっくに除外しているはずの
旧宮家案も、恐らく報告書に書き込まれると思われる。
たとえ無理筋であっても、それを入れることで、これまでの
「男系男子」限定をきちんと見直して、女性・女系皇族が即位される
可能性を認める“正解”に対する、アンチテーゼに仕立てることが出来る。そのようなアンチテーゼがあってこそ、得意の「足して二で割る」
流儀を発揮できるからだ。
それ以上のことは求められていないような気がする。
今回の有識者会議が、課題の大きさ・重さに比べて、
小ぶりで軽めに見えるのは、そのような事情も関わっているだろう。
勿論(もちろん)、私のこうした無責任な予想が外れることが
望ましいのだが…。【高森明勅公式サイト】
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