「文藝春秋」2月号に、秋篠宮家のご長女、眞子内親王殿下の
ご結婚問題を巡り、国際政治学者の三浦瑠麗氏と社会学者の
鈴木涼美氏の対談が載っている。
その中で、次のようなやり取りが。鈴木氏「(未婚の皇族女性について)
『結婚すれば一般市民になれるけど、結婚しないと
一般市民になれない』でいいのか…少なくとも現在、
女性天皇や女系天皇が認められていないのであれば、
成人した時にご本人にそのご意思があれば一般人になってもいい、
という制度を作ってほしいです」三浦氏「何かと話題の『結婚一時金』も、
成人して一般人になる時点で支払われていい」どうやら、お2人とも、皇室典範、皇室経済法を
読んでおられないらしい。皇室典範11条1項には以下のようにある。
「年齢15年以上の内親王、王及び女王は、その意思に基(もとづ)き、
皇室会議の議により、皇族の身分を離れる」つまり、「成人」する迄、
わざわざ待たなくても、15歳以上になれば、未婚の女性皇族に
「そのご意思があれば」皇室会議の同意のもと、「一般人になってもいい」
という制度は、“既に”ある。又、皇室経済法6条1項に以下の通り。
「皇族費は…皇族であった者としての品位保持の資に充(あ)てるために、
皇族が 皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額に
より支出するものとする」いわゆる「一時金」は、皇族がその身分を離れられる際に
「品位保持」を目的として支出されるもの。
制度上、ご結婚は皇籍を離脱される場合の理由の1つ(典範12条)
に過ぎない。だから、(皇室会議の同意を踏まえ)ご本人の意思やご結婚など
様々な理由で「一般人になる時点で支払われ」るのが、“今の”制度だ
(制度として、「結婚一時金」なるものは存在しない)。「(今後、制度改正をして)支払われていい」ではなく、
とっくに「一般人になる時点で“支払われる”」ルールになっている。
対談自体は興味深く読んだが、この辺りは、担当の編集者なり校閲者なりが、
チェックすべき箇所ではあるまいか。
しかし編集サイドで、上記のやり取りの部分に「皇室の“結婚至上主義”」という
小見出しを付けているようでは、それも望み難いか。
前に八幡和郎氏の発言を取り上げたが、それなりの学者や評論家が、
皇室の基礎知識を身に付けないまま、立ち入った言及をしている
ケースを時折、見掛ける。【高森明勅公式サイト】
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