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高森明勅
2020.10.29 06:00皇室

天皇陛下、明治神宮ご参拝

10月28日、天皇陛下には、明治神宮にお出ましになった。
来る11月1日に明治神宮がご鎮座百年を迎えるのに先立って、
親しくご拝礼をなされた。
皇后陛下も随(したが)われた。

更に、上皇・上皇后両陛下、秋篠宮・同妃両殿下もご参拝になっている。
明治天皇と昭憲皇太后を祀(まつ)る明治神宮は勿論(もちろん)、
全国16社ある勅祭社(ちょくさいしゃ)の1つ。
ご鎮座90年に際しては、平成22年11月8日に上皇・上皇后両陛下が
ご参拝なされている。
その時の御製(ぎょせい)は以下の通り。

新たなる
知識 世界に
求めつつ
国を築きし
御代(みよ)をしの(偲)びぬ

上皇后陛下の御歌(みうた)も掲げる。

窓といふ
窓を開きて
四方(よも)の花
見させ給(たま)ひし
大御代(おおみよ)の春

ーこの御歌は、明治天皇の次の御製(明治45年)を踏まえておられる。

たかどの(高殿)の
窓てふ窓を
あけさせて
四方の櫻(さくら)の
さか(盛)りをぞみる

ちなみに、ご鎮座50年は昭和45年だった。
同年11月5日に、昭和天皇と香淳皇后が同神宮にお参りになっている。
この時の昭和天皇の御製は以下の通り。

おほぢ(祖父)のきみの
あつ(篤)き病(やまい)の
枕べに
母とはべ(侍)りし
おもひで(思い出)かなし

昭和天皇は、死の床に臥(ふ)された明治天皇を、
ご自身が「枕べに」見舞われた時の悲しみを、遥かに回想しておられる
(昭和天皇は明治34年のお生まれ)。

『昭和天皇実録』で確認すると、明治45年7月20日の宮内省による
明治天皇のご発病の発表以降、29日の崩御(ほうぎょ)に至る間、
頻繁にお見舞いに参内(さんだい)されていたことが分かる。
その中で、「母(貞明皇后))」とご一緒だったのは26日だけ
(この時は昭和天皇〔当時は皇孫〕と貞明皇后〔当時は皇太子妃〕のお2方のみ)。
よって、この御製は同日の「おもひで」をお詠(よ)みになったものだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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