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高森明勅
2020.10.24 06:00政治

野党指導者の改憲論

野党の指導者にも堂々と憲法改正を唱える人物がいる。

今なら国民民主党の玉木雄一郎衆院議員などがその1人だろう。
以下にある野党政治家の改憲論を紹介しよう。

「憲法上の位置づけという意味で、自衛権等についての規定が
まったく存在せず、すべてが解釈に委ねられている現行9条は、
確かに問題があります」

「憲法によって、軍事的公権力行使に歯止めをかけようとするならば、
その要件や限界を、解釈の幅が少しでも小さくなるように明文化するほか
ありません」

「集団的自衛権の行使についてはどう規定すべきか。
…個別的か集団的かという二元論で語ること自体、おかしな話です。
そんな議論を行っているのは、日本の政治家や学者くらいでしょう。
それもこれも、解釈に頼って歯止めをかけてきてたからです。
そうではなく、条文上で明記することで、より緻密で具体的な
線引きが可能になります」

「(具体的な条文案、9条の2、2項―引用者)国際法規に基づき
我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対して、
急迫不正の武力攻撃がなされ、これを排除するために他の適当な
手段がなく、かつ、我が国の平和と独立並びに国民の安全に影響を
及ぼすおそれがある場合においては、必要最小限の範囲で、
当該国と共同して、自衛権を行使することができる」

「内閣法制局解釈という大変脆弱(ぜいじゃく)な『歯止め』に
依存するのに比べて、我が国の平和主義を実質的に守る上では、
(改憲によって条文上の歯止めをかける方が―引用者)より
効果的である…護憲派もその点は認めざるを得ないのではないでしょうか」

いかがだろうか。
それなりに説得力を備えた主張ではないか。

一先ず、耳を傾けるだけの値打ちはあるだろう。
いわゆる「立憲的」改憲の“先駆け”とも評価できる。

この改憲論の執筆者は他でもない、
当時は民主党で憲法調査会の会長なども務められた、
(新)立憲民主党代表の枝野幸男衆院議員だ
(「文藝春秋」平成25年10月号所載「憲法9条 私ならこう変える」)。

枝野氏は、この論文を既に取り消されたそうだが、
近頃の立憲民主党は(立憲主義の本旨から離れて)旧社会党のような
「護憲」政党に後退しているように見えてしまう。

同氏は今後、どこに向かわれるのか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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