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泉美木蘭
2020.10.15 10:00

コロナしか見てない新聞報道のあり方

東京新聞に、「新聞報道のあり方委員会」という集まりで
議論した様子が載っていたので読んだけど、
「ウイズコロナ」は、経済をまわすために多少の死者や
犠牲者が出てもかまわないという意味が含まれるとして、
ダッカ日航機ハイジャック事件で、当時の福田恒夫首相が
言った「一人の命は地球より重い」という考え方のほうが
ずっとまともだという発言が載っていた。

コロナの死者の命は、地球よりも重くて、
コロナよりもはるかに数多い、インフルエンザや肺炎球菌や、
結核や腸管感染症などによる死者のことは、まったく気にも
留めていないんだから、ものすごい非常識さだと思う。

新聞報道について語るなら、厚労省の統計を見て
からにしてくださいよ。
日本の1歳児~9歳児の死因の第5位は、
インフルエンザですよ?

死亡しないまでも、インフルエンザ脳症で知的障害など
重篤な後遺症を生涯に渡って抱える子どももたくさん
います。
基礎疾患を持つ80代、90代、100歳代の高齢者が、

コロナをきっかけにいよいよ天寿をまっとうすることを、
「地球よりも重い」と言うならば、
子どもの命を残酷に奪いつづけているインフルエンザのことは
なぜ考えないのでしょう? なぜ比較しないのでしょう?

コロナ失策による失業者は? 自殺者の増加は?
家庭内暴力、精神不安、学力低下については?
ぜんぶ「地球」と比較ですか?
新聞報道のあり方、そこがおかしいんですよ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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