見落とされがちな事実を1つ。
それは、今の憲法が制定されるに当たり、決定的な役割を果たした
占領当局(GHQ)自身が、新しい憲法(法的な形式・手続きの上では
帝国憲法を改正したもの)においても、天皇は「君主」であるとしていたことだ。これは差し当たり、いわゆる“マッカーサー3原則”とGHQが用意した
英文の憲法草案から明らかだ。
マッカーサー3原則の第1原則は以下の通り。「天皇は国家の元首の地位にある。皇位の継承は、世襲である。
天皇の義務および権能は、憲法に基づき行使され、
憲法の定めるところにより、人民の基本的意思に対し責任を負う」「国家の元首」が、その地位を「世襲」する場合、
普通これを「君主」と呼ぶ。
マッカーサーは新憲法の下でも、天皇は“君主”と位置付けられる
べきだと考えていた。
又、英文の草案では天皇を「Emperor」との表記で統一している。
“エンペラー”とは言う迄もなく「皇帝」を意味する。皇帝は「帝国の君主」のこと。
従って、GHQ側には、憲法の変更によって、天皇の君主としての
地位を否定する意図は無かった、と見ることができる。
GHQ側にその意図が無いのに、わが国の政府や議会が、憲法において、
ことさら天皇が君主であることを否定しようとするはずもない。結果、今の憲法でも、天皇が君主であること自体には、
何の変更も無かった。にも拘らず、現在、この点について、国民の間に否定的、
ないし曖昧な認識が広がっているとしたら、
戦後の憲法学および教育内容の問題だろう。【高森明勅公式サイト】
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