皇統問題は突き詰めると“1つの問い”に尽きる。
これまで「男系」継承を支えて来た側室が不在で、非嫡出(庶出)
による皇位の継承という選択肢が排除された条件下で、皇室の尊厳、
「聖域」性(あるいは、国民の皇室への素直な敬愛の気持ち)を守りながら、
いかにして将来に向けた皇位の安定継承を目指すか。この問いは、3つの要素から成り立つ。
(1)前提条件=側室不在、非嫡出による継承否認。
(2)最大の留意点=皇室の尊厳・「聖域」性(国民の皇室への
素直な敬愛の気持ち)を守る。
(3)最終目標=皇位の安定継承ところが、先に紹介した「皇室の伝統を守る国民の会」(三好達会長)
のリーフレット『なぜ皇位は男系で継承されなければならないかQ&A』
(『日本の息吹』9月号に掲載)では、驚いたことに前提条件(1)を
全く無視していた。それで「男系維持」を訴えても、残念ながら何の説得力も持ち得ない。
これは、そもそもの“スタートライン”である(1)について、
何の知識も無かったのだろうか。もしそうだとすれば、率直に言って無知の程度が激し過ぎる。
それとも、知っていながら敢えて伏せたのか。
そうだとすれば、悪質なトリックに近い。
最終目標(3)とすべき、皇位の安定継承には“決して”繋がらない方向に、
世論を導くことになるからだ。同リーフレットに限らず、(1)と真正面から向き合おうとしない議論は全て、
「皇位の安定継承」とは無縁(!)と心得るべきだ。
この前提条件と、どれだけ誠実かつ真剣に取り組んでいるか。
それが議論の水準を見極める“目安”になる。【高森明勅公式サイト】
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