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笹幸恵
2020.6.19 21:38日々の出来事

知らない幸せ、知る不幸

世の中には、「知らない幸せ」「知る不幸」が
あると私は思っている。
もちろん、無知を礼賛するわけではない。
知って、考えて、学ぶ。これ人間の成長には必須。
だけど何もかも知ることが無条件に良いとは思わない。

たとえば恋人の浮気。
バレバレだったら、怒りたくもなる。
嫉妬もする。ついでに「もうちょっとバレないように
うまくやれよ!」と二重に腹立たしくなる。
最終的に、三行半を突き付ける。
知ってしまったがゆえの不幸。
好きな相手のことは何でも知りたいと思うのは
恋心としてわかるけれど、知らないほうが幸せ、
ということも世の中にはあるのだ。
知ればいいってもんじゃない。

今日、コロナの接触通知アプリの提供を政府が開始した。
これなど、「知らない幸せ、知る不幸」の典型だ。
「陽性者と接触していた」という通知が届いて、
何になるというのだ?

だいたい、このアプリを使おうなんて人は、
そもそもコロナを怖がっている。
避けたいがために知ろうとする。
だけど、陽性者との接触を知って安心するだろうか。
逆だろう。
多くの人は、不安にさいなまれる。
あー、私、コロナになるかも。
そうやって日々怯えて暮らすのだろうか。
これぞまさに「知る不幸」。

政府は安心材料ではなく、不安材料をばらまいている。
どうかしている。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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