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笹幸恵
2020.6.5 14:19日々の出来事

医学的要請が道徳的要請に

朝の連ドラ「エール」をいつも録画して観ている。
窪田正孝のあの雰囲気、たまらんなあ。
今週は「船頭可愛いや」の大ヒットがあった。
この歌を私は知らなかったのだけど、
「ゲタ屋の娘」が歌っているシーンを見て感動。
「双浦環」が歌っているシーンを見て感動。
とってもいい曲!!
今週はYouTubeで「船頭可愛いや」ばかり聞いている。
三橋美智也の歌っているバージョンが一番ハモりやすい。
三味線でもなんとか弾けるようになりたいなあ・・・。

閑話休題。
数日前、読売新聞文化欄に筑波大学教授の斎藤環氏の
「CP(コロナ・ピューリタニズム)定着に警鐘」
という記事が載っていた。

いわく、
「『自らも感染している前提で、他人にうつさないように
振る舞うべきだ』という医学的要請が、
誰もが人祖の罪を背負っているという前提での行動を
求める、キリスト教の『原罪』意識に似ている」

「現代日本では、『医学的な要請を道徳的要請と捉え、
無意識のうちに倫理観として内面化しつつある』」

これが、禁欲的なピューリタニズムに似ているとして、
CP(コロナ・ピューリタニズム)と名づけたという。

「3密」を回避しなければならないのは
今が非常事態だからで、この言葉を聞いて
「悪いことだ」と反射的に思ってしまう人は、
かなり重症のCPにかかっている。
また、宗教的な道徳律が希薄だった日本では、
「同調圧力のもと誰かを罰したい」と思う人が多い。
戦時中の適性語追放なども、政府の示した方向に、
民間が過剰に反応してエスカレートしたという。


まったくその通りだと思う。
適性語については以前、軍事トリビアでも
取り上げたことがある。
『何かヘンだぞ!? 英米色抹殺キャンペーン』

ここでは、当時の世相を見てもらうために
昭和18年代の『写真週報』の記事を紹介した。
舶来物の薬や化粧品を暗に使うなと言っている記事や、
「米英レコードをたたきだそう」
「看板から米英色を抹殺しよう」
といった見出しの記事もある。
今ではまるで滑稽に見えるが、当時は大マジメ。
とはいえ、その滑稽さと大マジメは、
形を変えてしっかりと残っている。

「店内に入るときはマスクをしてください」
「ソーシャルディスタンスを保ちましょう」
「手の消毒をお願いします」
挙句、フェイスシールドとマスク姿で
「いらっしゃいませ」

75年後の日本人は、こうした今の世相を
滑稽だと笑うに違いない。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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