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徒然草気まま読み#83
「季節の移り変わり」
配信しました!
最初は、徒然草とは関係ないけれども『新しい公民教科書』の宣伝から。
「新しい歴史教科書をつくる会」による検定合格本教科書の市販本が5月20日、自由社から発売された。
中学生だけではなく、政治家を含む大人たちが知っておかなければならない政治と社会の仕組みを学ぶ初めての教科書。
文科省は教科書検定において、検閲といっていいほどの過酷な検定意見をつけてきた。市販本の巻末には「特別報告」として、執筆者による論考と実際の検定意見、検定で全面削除された原文を掲載。現在の文科省がどうなっているのかを知るにも最適の書となっている。
そして今回扱うのは、第十九段。
冒頭だけ紹介すると…
折節の移り変わるこそ、物ごとに哀れなれ。
「物の哀れは秋こそまされ」と、人ごとに言ふめれど、それも然(さ)るものにて、今一きは心も浮きたつものは、春の景色にこそあめれ。鳥の聲などもことの外に春めきて、のどやかなる日かげに、垣根の草萌え出づる頃より、やゝ春ふかく霞みわたりて、花もやうやう氣色(けしき)だつほどこそあれ、折しも雨風うちつゞきて、心あわたゞしく散りすぎぬ。青葉になり行くまで、萬(よろづ)にただ心をのみぞ悩ます。
兼好法師にとっての春夏秋冬それぞれの季節の魅力が、美しい調べで綴られる。
それは既に古典に何度も書かれていることで、全く目新しいことではないけれども、それでもかまわないから書く! という割り切り方も面白い。
文章から情景がありありと伝わってくる描写など、ぜひ原文で味わっていただきたい一段。