数々の専門家が引用する、
インペリアルカレッジ・オブ・ロンドン2020年3月16日の論文には、
同大学のニール・ファーガソン教授のチームによる
「何もしなければイギリスで50万人、アメリカで220万人が死亡する」
という試算が掲載されているのですが、
ファーガソン教授は、それまで集団免疫を構築することを目指して
緩和政策をとっていたボリス・ジョンソン政権に圧力をかけて、
抑圧政権に転換させ、
その論文は、アメリカ、ドイツ、フランスにも引用され、
各国政府の「ロックダウン政策」の理由となり、
そして、日本の専門家会議の参考文献としても添付されています。
イギリスでは「ロックダウン教授」と呼ばれていて、
連日メディアに引っ張りだこの状態です。
(ただ先日、国民に向かって「外出するな、他人と接触するな」と
強硬に言っていた超本人が、そのさなかに不倫相手を自宅に呼んで
濃厚接触していたことがバレてちゃって、政府顧問を辞任しました…)
2001年の口蹄疫発生時、ファーガソン教授は、
ウイルス感染の広がり方を予測し、トニー・ブレア政権に助言。
予防措置として感染した農場から周囲3キロの範囲の家畜、
600万頭を殺処分することに寄与しました。
これによってイギリスの農業収入は数十億ドル失われ、
多くの農家が廃業しました。
しかし、現実には感染は数100メートル以内に収まるとされています。
ファーガソン教授には、この過剰殺処分の責任があるという非難も
一部から出ていたようですが、
当時は、政権に助言したことが圧倒的にポジティブに評価され、
大英帝国勲章を授与されています。
ここで大きな権威がつきました。
次は翌年2002年。
狂牛病(BSE)問題が発生します。
この時のファーガソン教授の試算は、
イギリスで50,000~150,000人が死亡する可能性がある、
というものでした。
しかし実際の死者は、178人でした。
さらに2005年。
H5N1型鳥インフルエンザ発生時には、
2億人が死ぬ可能性があると試算。
しかし、実際の死者は、世界で449人にとどまっています。
この時は、潜在的な死者数を過大評価してパニックを
起こしたと非難されてします。
ちなみに、岡田晴恵教授の著書にも「H5N1型で2億人が死ぬ」
という恐怖が語られていました。
そして2009年。
豚インフルエンザが発生した際は、
イギリスで65,000人が死ぬ可能性があると試算。
でも最終的には、457人でした。
そして今回の新型コロナの予測です。
ファーガソン教授は、
「過少反応であることより過剰反応であることで非難される
ほうがずっと好き」とのことで、
“We don’t have a crystal ball.”
と発言しています。
誰も水晶玉は持ってない、占い師みたいなことはできない、
つまり、誰にも未来は予測できません、
ということでしょうか。
感染症の数理モデルを計算するということを仕事とする専門家
からすれば、「最大の危険を予測するのが至上命題」ということ
なのでしょう。
しかし、現実の世界では、過剰反応の政策によって、
倒産、廃業、失業が起き、自殺、犯罪が増大することは予測が
つくことです。
専門家の数理モデルのみに従って、政策を決定してよいのか、
政治家にはもっと真剣に考えてほしいですし、
それが政治家の仕事だと思います。
そして、「ロックダウンや自粛政策が、本当に死者数を抑える
ことにつながっていたのか?」
ということも、バイアスなしに検証したほうがいいと思います。
日本もですが、たいていほとんどの国が、
初期の2週間でぐっと新規感染者数が増えて、そしてその後は
なだらかな減少カーブになっているのが、私はとても不思議に
思えてきてもいます。
政策介入のタイミングはそれぞれ違うので、
なんだか似たようなこのカーブはなんだろうなとか。
世界各国どの国の人も同じように行動したからこうなるので
しょうか? それって本当なのかな? とか。
素朴にわからないことが多いです。