今年の文部科学省の検定に合格した『新しい公民教科書』
(代表執筆者、小山常実氏。自由社刊)。「新しい歴史教科書をつくる会」の関係者が制作に関わった。
今の検定制度の制約の中で、期待し得る最も健全な内容を盛り込んでいると
言えるのではないか。この教科書の為に、渾身の努力を惜しまれなかった小山先生をはじめ
全ての関係各位に、感謝と敬意の念を捧げたい。この教科書の冒頭(序章「現代日本の自画像」第1節)には、
「グローバル化が進む世界」について、次のように言及されている。「グローバル化した世界で拡大流通するのは、有益なものだけではありません。
例えば、一地方で発生した新型インフルエンザが短期間で地球全体に広がり、
多数の人が感染し死亡する事態も発生しています。
環境破壊とその被害も広域化しています。
…先進国の産業が相対的に賃金の低い国に移転して国内産業が衰退し
(産業の空洞化)、国内の雇用機会も減少するため貧富の格差が拡大しています。
…そこで、グローバル化がもつ危険をコントロールすることが考えられるように
なりました。その1つが国家の役割を強くする考え方です。
このような考え方は、欧米諸国で急速に拡大し、2016年6月、イギリスは国民投票で
EU離脱を決めました。
2017年1月、グローバル化の本家であるアメリカでも、『アメリカ第一主義』を
唱えるトランプ大統領が誕生しました。もう1つは、国を越えた協力によって危機をコントロールしようという考え方です。
例えば、国際連帯税の導入の動きは、税制に関するグローバルな協力ということが
できます」グローバル化を手放しで礼讚するような軽薄さとは明確に
一線を画している。
多くの地域で採択され、1人でも多くの中学生にこの教科書が
届くことを願う。
また、近く一般の書店でも販売されるはずなので、教育関係者は勿論、
幅広い国民に読んで欲しい。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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