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高森明勅
2020.4.27 06:00皇統問題

明治天皇の玄孫?

明治天皇の玄孫(やしゃご)を名乗る人物がおられる。
多くの人々もそれを不審に思わず、聞き流している。
しかし、いわゆる旧宮家は全て伏見宮系。
だから、遥かに遠く北朝第3代・崇光(すこう)天皇の
第1皇子・栄仁(よしひと)親王の血筋を引くものの、
「男系」では明治天皇と何の関わりもない。

ところが、明治天皇の第6皇女・昌子内親王の嫁ぎ先として、
北白川宮能久(よしひさ)親王の第1王子・恒久(つねひさ)王
(非嫡出、母は申橋幸子)が皇籍に留まり、新しく竹田宮を
創設した事実がある。

上記の人物はその末裔で、明治天皇からは内親王の血筋(女系)
を介して、4世の孫に当たられる。
なので、「玄孫(=孫の孫)」と称しておられるのだろう。
これは決して詐称ではない(同人物がもし“旧皇族”などと
名乗ったら、それは勿論、詐称になるが)。
ばかりか、極めて興味深い名乗り方と言わねばならない。
何故なら、この方は、遠く離れてはいても(実に21世!)、
男系でも天皇の血筋を引いておられる。

にも拘らず、“敢えて”男系ではなく、明治天皇の内親王の血筋、
つまり女系の方を専ら自らの血統として誇示されているからだ。
これは、男系・女系の区別よりも、天皇との血縁の距離(遠いか
近いか)こそが重要である、という事実を自ら(恐らく無意識的に)
感得していることによるものだろう。

多くの人々も、男系・女系の区別には拘(こだわ)りがないので、
先のような名乗りも、特に違和感なく聞き流しているのだろう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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