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徒然草気まま読み#76
「情けある三蔵」
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今回扱うのは、第八十四段。
全文を紹介すると…
法顯(ほふげん)三藏の天竺に渡りて、故郷の扇を見ては悲しび、病に臥しては漢の食を願ひ給ひける事を聞きて、「さばかりの人の、無下にこそ、心弱き氣色を人の國にて見え給ひけれ」と人の言ひしに、弘融僧都、「優に情ありける三藏かな」といひたりしこそ、法師の樣(よう)にもあらず、心にくく覺えしか。
三蔵とは、経(きょう)(=仏の説法の集成)・律(=仏徒の戒律の集成)・論(=経・律に対する注釈的研究成果)の三つの仏教の聖典に深く通じた高僧のこと。
西遊記の「三蔵法師」で有名だが、「三蔵」は人名ではなく、「三蔵法師」と言われる人は多くいる。
そんな数ある三蔵の中の一人のエピソードに対して兼好が感想を述べている。
高僧といえども人の子、という暖かい目を向けている一方、なんとも皮肉のこもった表現をさりげなく交えているところにもご注目。