皇位継承の男系限定に拘る人々が唱えていた旧宮家系国民男性の
皇籍取得という方策。
私はこれまで、その困難さを繰り返し指摘して来た。
政府もようやく、既にそれを現実的な選択肢から除外している事実を、
隠さなくなって来たようだ。おさらいとして、それが困難な理由を改めて掲げておく。(1)限られた対象者の中で、誰が自発的に皇籍取得の意思を
持っているのか?(2)もし自発的に皇籍取得の意思を持つ人がいても、皇族になるに
相応しい資質や経歴を備えているか?(3)昨日まで民間で普通の生活をしていた人が、婚姻という
人生の一大事を介在させることなく、急に皇族になることに国民が
違和感を持たないか?(4)一般社会での身分制を廃止し、世俗化が加速する現代において、
そうした前例が生じると、聖域であるべき皇室と一般国民との区別が
曖昧になる、憂慮すべき傾向を生まないか?(5)以上のような無理に無理を重ねても、側室不在、非嫡出の
継承否認という前代未聞の窮屈な条件下では、皇位の継承も、
宮家の存続も、男系限定では行き詰まる他ないのではないか?ーー政府も理性的に検討すれば、結論は最初から決まっていたはずだ。
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