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笹幸恵
2020.3.6 23:15日々の出来事

安倍批判をする自称保守陣営

月刊「Hanada」。
安倍首相なら何をやってもOK、
悪いのは野党、共産党、朝日新聞……。
この雑誌はもう何年もそういう路線だったけど、
4月号は少し毛色が変わっている。
冒頭のコラムページで執筆者たちが、
今回の新型コロナウィルスについて
政府の対応を批判しているのだ。

ジャーナリストの山際澄夫氏という人は、
泥縄式に対策を小出しにしたということで、
日本軍のガダルカナル島での戦闘を例に出しながら
こう最後にまとめている。
「安倍首相は、『日中関係は完全に正常な軌道に
戻った』というが、そんな中国と
中国べったりのWHOに忖度して日本の対応が
甘くなったのだとしたら、日本国民は救われない」

作家の門田隆将氏はもっと辛辣で、
「呆れるばかりの危機管理のなさを露呈した安倍政権」
「希望的観測に捉われて国民の命を危険に晒し、
『最悪の事態』を想定できない人物は
さっさと政治家をやめなさい」
と書いている。

ジャーナリストの有本香氏は情感たっぷりの
書き出し。
「安倍政権が続いている間に、まさかこんな原稿を
寄せる日が来ようとは思わなかった。いつになく
陰鬱な気持ちで……」云々。
百田尚樹氏、高須克弥氏らと共に、
直ちに中国からの人の流れを止めろと
言っていたのに、周りからレイシスト呼ばわりされたという。
また百田氏は、
「過去十年近く、その政治信条と政策、
何より人柄を支持してきた安倍総理が、
今回の国難に際し、果断な決断を見せてくれなかった
ことを『残念に思う』とも述べてい」て、
そのとき、彼の眼には「うっすらと涙が
浮かんでいた」のだとか。
かえってその悲劇的な表現が滑稽に思えてしまうのだが、
いずれのコラムも安倍政権批判。

その百田氏は、同じ号で「安倍総理大臣への最後の忠告」
として、石平氏と対談している。
政府も自民党もバカばかり、と吠えている
(野党やメディアはもっとバカ、と
付け加えることも忘れていないけど)。

数々の閣僚の不祥事どころか、モリカケ問題でも
桜を見る会でも、どんなに公文書を偽装したり破棄したり
死者が出たりしても安倍礼賛をやめなかった人々が
こぞって安倍批判。
かえって驚いた。
この人たちは、物事を個別に見て判断する
という視点を持っていたのかと。

もっとも「人柄を支持してきた」という時点で、
人を見る目、政治家を見る基準が何か違うような気がするけども。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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