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高森明勅
2019.10.19 06:00皇室

祝賀パレード延期の背景

10月22日に予定されていた「祝賀御列の儀」(国事行為)が、
急遽11月10日に延期になった。

台風19号の甚大な被害を前にしても、政府は当初、「淡々と進める」
(10月15日、菅官房長官)としていた。
ところが急転直下、延期に決まった。
その背景には皇室のご意向が働いた、と考えるのが自然だろう。

まず宮内庁が天皇・皇后両陛下の「お気持ち」について発表した。
「天皇皇后両陛下には、台風19号による大雨災害で多数の方々が犠牲となり、
また、依然として多くの方の安否が不明であること、数多くの方々が被災されて
いることに大変心を痛めておられます。
亡くなられた方々を心から哀悼されるとともに、ご遺族と被災された方々に
お見舞いのお気持ちをお持ちでいらっしゃいます。
両陛下には、安否不明の方々が早く見つかること、並びに、一日も早く復旧が進み、
被災された方々の生活が早く元に戻ることを心から願っていらっしゃいます。
また、災害対策のために日夜努力している関係者のご労苦に対し、おねぎらいの
お気持ちをお持ちでいらっしゃいます」と。

これに続いて、20日に予定されていた上皇后陛下お誕生日祝賀行事の取り止めも、
公表された(いずれも15日)。
もはや皇室のお考えは明らかだった。
政府がそれを尊重するのか、どうか(国事行為は内閣の助言と承認による)。

勿論、「即位礼正殿の儀」(国事行為)には世界中の要人がご参列下さる予定
になっている。
これを容易(たやす)く変更できないのは明らかだ。
しかし、「祝賀御列の儀」はあくまでも国内行事。
しかもご一代に一度限りの祝賀パレードだ。
それを、国民が屈託なくお祝いしにくい状況下で、敢えて行うべきなのか。
答えは自明だ。
政府としても、さすがに当事者の天皇・皇后両陛下のお気持ちを蔑(ないがし)ろ
には出来なかった、というのが実情だろう。
延期となった11月10日には、令和の門出を寿(ことほ)ぐパレードを、
国民挙って晴れ晴れとお祝い申し上げたい。

なお、私が編集に協力した「女性セブン」(10月月31日号)が10月17日に
発売された。
即位礼関係の特集記事は4ページ+6ページの計10ページだ(私が協力したのは
6ページの記事)。

22日当日は、テレビ東京の特別番組(12時40分~14時)と
「ゆうがたサテライト」(16時45分~17時20分)に出演する。
元々は祝賀パレードを中継する特番第2部(15時15分~16時15分)にも
出演するはずだった。
しかし、パレード自体が延期になったので、当然ながらこの日の特番第2部
も無くなった。
更に、同日のBS日テレ「深層NEWS」(22時~23時)にも出演する。
興味のある方は覗いて欲しい。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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