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小林よしのり
2019.10.5 13:00日々の出来事

王様は裸だと言えるリスク

トッキーが書いてる「世の大人がありがたがって押し
頂いているものに『王様は裸だ!』って笑っちゃう
のが本来の漫画の役割り」っていうのは、まさに正鵠
を射ている。

最近は「誰かがどこかで傷つくかもしれない」という
強迫神経症にとらわれて、社会を無菌保育器にしたがる
人間ばっかりになってしまった。

漫画の毒が許されない。
社会的弱者を代弁する抗議が「正義」となって、
「王様は裸だ!」と言う者の口を塞ぎにかかる。

わし以上にリスクを抱えて「王様は裸だ!」と言える
者がいるのだろうかと常々思っている。
本当にわしの「表現の自由」を奪ったり、制限したり
して、日本社会は大丈夫なのか?

香港のように、いよいよ自由を失う瀬戸際になって、
若者は銃で撃たれる危険も顧みずに、権力と戦って
いるが、日本人はあんな極限状態で戦う意志を育んで
いるのか?

学校秀才の、覚悟なき反権力イデオロギーで、きれい
ごとの正論ばっかり言う左翼マスコミ知識人がいる。

権力の提灯持ちになって、フェイクで構わんと居直っ
たエセ保守知識人も大勢いる。

こんな状況で「王様は裸だ!」と言える若者は育って
来れるのか?

わしのような表現者の「牙を抜く、毒を抜く」ことが
日本という国に資することかどうか真面目に考えて
ほしい。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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