日系アメリカ人が監督した慰安婦問題に関するドキュメンタリー映画『主戦場』が一部で話題になっているというので見に行ってきたのですが、これはドキュメンタリーの名には全く値しない左翼プロパガンダ映画でした。
その手口は呆れるほど単純です。
まず右派の論客が慰安婦問題について、日本の責任がない旨の発言をする様子を映す。
そして次に、左派がそれに反論する様子を映す。
どう聞いても右派の言うことの方が正しく、左派の反論の方がおかしいのに、左派に対する右派の再反論は映さず、左派が言うことの方が結論であるかのように編集する。
たったこれだけです。
例えば、米軍が作成したビルマの慰安所の資料に、慰安婦が好待遇だったことが書いてあるということを右派の側が指摘。
(ビルマの資料についてはコチラ)
すると次に、左派の学者の吉見義明氏が映り、「この資料は、それくらいの待遇をしなければ耐えられないくらい過酷な状況に置かれていたということを示しているのです」という、無茶苦茶な反論をする。
ところが、吉見氏の発言が結論で、これで論破したかのようにして、次の論点に移っていくのです!
また、1965年の日韓基本条約で解決済みというと、次に韓国人の論客が出てきて、「日韓基本条約は1965年だが、慰安婦問題が浮上したのは1990年代だから、日韓基本条約の対象外」だの、「日韓基本条約は冷戦下でアメリカの要請によって結ばされたものだが、冷戦の終結で国際事情は変わった」だの、そんなことを言い出したら国際条約など無意味になってしまうことを平然と言う。
ところが、韓国人の言い分の方が結論であるかのように編集されているのです!
最近NHKニュースで国会論戦を報じる時は、必ず野党側の発言を先に流し、安倍首相の発言を最後に流して、安倍が野党を論破したかのように見える作りになっていますが、それと全く同じ手口です。
ただただ、編集によって印象操作しているだけなのです。
確かにこれは、取材を受けた右派論客が言っているように、「騙し討ち」のようなものです。
しかし右派論客側の脇が甘かったのも事実で、杉田水脈氏なんか、慰安婦像が置かれた米グレンデール市で日本人の子供がイジメにあったというデマを信じてしまったことを突っ込まれていたし、「日本人は中国・韓国人とは違って、嘘をついてはいけないと教えられて育つ」なんて差別発言をしているのもいたし、加瀬英明氏に至っては、自分が慰安婦問題については一番詳しいと豪語しながら、「吉見義明さんの説をどう思いますか?」と聞かれて、「吉見義明?誰ですか?知りません。私は人の本は読まないので」という始末です。
おそらくこの映画の制作者も、最初からボロを出しそうな人や、見た目におかしそうな人を選んで取材したのではないでしょうか。
だからよしりん先生には取材しなかったし、秦郁彦氏にも取材しなかったのでしょう。
映画は終盤ほとんど妄想の陰謀論状態に突入して、日本会議がとてつもなく恐ろしく影響力のある団体で、これが他の保守系団体と共に安倍政権に食い込み、日本を戦前のような天皇を神と仰ぎ、女性の人権を認めない、戦争の出来る国に変えようとしているなどと主張する有様。
「日本会議は、恐ろしい団体なんです。日本会議と安倍政権に反対している私は、いつ事故で死んでもおかしくないから覚悟しておくようにと、妻に言っています」
と、声を震わして言っていた小林節氏の姿には、私は爆笑しそうになりました。
この人、どうなっちゃったんだろう?
それにしても、こんな幼稚なプロパガンダ映画を評価している人なんて、考える能力ゼロでイデオロギーに染まり切った左翼しかいないでしょうねえ。