独特の存在感を示す俳優の寺田農(みのり)氏。
歌人・永田和宏氏の『象徴のうた』の書評を書いておられる。
永田氏は長年、宮中「歌会始」の選者を務めて来られた。
寺田氏の書評の一節を。「平成2年11月、即位の礼の5日後に発生した雲仙普賢岳の噴火。
直後に被災地を訪問され、両陛下とも膝をついて被災者と同じ目の高さで
人々の声に耳を傾けられるという映像は私たち国民に大きなインパクトを
与えた。
その姿勢はその後の〈阪神淡路大震災〉〈東日本大震災〉など
平成の時代のことあるごとに変わることはなかった。
その行為の意味を、著者(永田氏)は
『〈象徴〉像の本質は「国民と共にある、国民に寄り添う」という点が第1義』
としつつ、それは『平成の天皇が、手探りで、試行錯誤しながら模索して
こられたなかでたどり着いた結論』とみる。サイパン島をはじめとする先の大戦の激戦地への慰霊の旅、
バンザイ・クリフに向かって静かに黙祷なさる後ろ姿に私たちは深く感動した。
〈寄り添う〉とともにそこには〈祈り〉がある。
そして〈祈り〉が具体的に表れるのが御製(ぎょせい)、
御歌(みうた)の力である。贈られしひまはりの種(たね)は生(は)え
揃ひ葉を広げゆく初夏の光に
平成31年 天皇退位直前まで国民に寄り添い、安寧と明日への希望を祈り続けた
天皇・皇后両陛下。
私たちは平成の時代に生きた幸せに感謝するのである」
心の籠った文章だ。上皇・上皇后両陛下への敬愛の念が素直に流露している。
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