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笹幸恵
2019.6.22 19:41日々の出来事

男系原理主義者と9条信仰護憲派の共通点

超党派の日本会議国会議員懇談会が
「女性宮家」創設に反対する基本方針を
まとめた。女系天皇につながりかねない、
というのがその理由。

この基本方針では、安定的な皇位継承のために
「例外なく維持されてきた伝統に基づき、
男系男子による継承が可能となる方策、提言案を
まとめる」としている。
要するに、女性である内親王(いうまでもなく皇族)
の存在は無視して、
旧宮家の男系男子(生まれたときから一般人)を
皇室に送り込もうとしているのだ。

内親王よりも、旧宮家の男系男子を重んじる、
いったいどういう了見だ?
男尊女卑でなければ、なんだというのか。
いや、そうじゃない、根拠は男系の血統である、
というならば、
あなた方は天皇を「Y染色体の器」としてしか
見ていないことになる。
つまりは、「Y染色体の器」が伝統だと
言っているに等しい。
この不敬さ、この滑稽さに、なぜ気づかない?
こんな荒唐無稽な話を、大のオトナが50人も
集まって、よく大真面目に議論したものだ。

「憲法9条があるから戦争は起きない」と
信仰している護憲派と、根っこは一緒だ。

男系原理主義者は時代の変化を知ろうとしない。
何が伝統かを自分の頭で考えない。
本当の意味での伝統を維持するためには
どうすればいいかを模索しない。
ただ「男系を守れ!」と叫ぶのみ。

9条信仰護憲派は、国際環境の変化を知ろうとしない。
何が平和かを自分の頭で考えない。
本当の意味で、平和を維持するには
どうすればいいかを模索しない。
ただ「9条を守れ!」と叫ぶのみ。

どちらも目の前にある観念論だけにしがみつき、
大局的に多面的に何かを自分に問うことはない。

何が本当にこの国のためになるのか、
将来の子どもや孫たちに何を残すのが賢明なのか、
それすら考えようとはしない。

何をどう変えればいいかが議論になっているのに、
「変えちゃダメ!」と言い張るところも同じだ。

自分たちがマトモな議論の足を引っ張っていることに
いい加減、気づいてほしい。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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