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高森明勅
2019.6.9 06:00皇室

君臣の分義

戦後神道界で最大の思想家、葦津珍彦氏。

「男系」主義を強調する一方、冷静かつ公平に以下のように述べておられた。

「わが皇統が、庶出(しょしゅつ=非嫡出)の皇子又は
皇兄弟等によつて
継承されて来た事実は、決して無視さるべきではない。
その数は殆んど半数に近い程の比率に達してゐるのである。
…女系継承を認めず、しかも庶子継承を認めないと云ふ継承法は
無理をまぬかれぬ」

「占領下に皇族の籍を離れられた元皇族の復籍ということが
一応問題として考へられるであらう。

…(しかし)その事情の如何(いかん)に拘(かかわ)らず、
一たび皇族の地位を去られし限り、

これが皇族への復籍を認めないのは、わが皇室の古くからの法である。
明治四十年の皇室典範増補“第6条皇族の臣籍に入りたる者は、
皇族に復するを得ず”とあるは、
単なる明治四十年当時の考慮によりて
立法せられたものではなく、
古来の皇室の不文法を成文化されたものである。
この法に異例がない訳ではないが、賜姓の後に皇族に復せられた事例は
極めて少い
…この不文の法は君臣(くんしん)の分義(ぶんぎ)を
厳かに守るために、
極めて重要な意義を有するものであつて、
元皇族の復籍と云ふことは
決して望むべきではないと考へられる」
(『天皇・神道・憲法』昭和29年)

真剣に皇室の「尊厳」護持を考える立場からの発言だ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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