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高森明勅
2019.5.24 12:59皇室

古代日本は双系制社会

歴史学の分野では、古代日本がその基層において「双系」制社会だった、
との認識がほぼ共有されていると言えよう。
例えば、新しい研究成果から。

「皇位の継承において女性や母系が重視されたのは、
古代日本が双系制社会、すなわち、父系(男系)と母系(女系)の双方の
出自が同等の重みをもつ社会であったからだ。
日本で良男・良女間の子を父親の氏族に属させるよう定められたのは、
記録上は大化元年(645)のこととされており、実際には、7世紀後半の
天智天皇(38代)の治世にこうした政策が行われ、8世紀にかけて、
父系制社会に緩やかに移行したと考えられている。

この点に関連して注目されているのは、
大宝元年(701)に施行された大宝令で、女性天皇の皇子女も、
男性天皇と同様に、親王・内親王とするとされていたことである。
このことは、女性天皇の皇子女も皇位継承権を有する存在であった
ことを意味する。

中国の律令を反映して、日本の律令では男系主義を採っているが、
その中に残された双系制社会の名残(なごり)が、
この女性天皇の皇子女に関する規定であった」
(佐伯智広氏『皇位継承の中世史』平成31年4月、吉川弘文館)

―文中、「記録上は大化元年(645)のこととされており」
とあるのは、同年8月の「男女の法」を指す。
同法については改めて。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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