安倍首相の
「内奏(ないそう、大臣らが不定期に天皇などに報告・説明を行うこと)」
を巡り、宮内庁が「遺憾」の意を表明した。毎日新聞は5月16日付朝刊で、
安倍氏が以下のような発言をしたと報じた。「前の天皇陛下〔上皇陛下〕はいつも座ったままだったが、
今の陛下は部屋のドアまで送って下さって恐縮した」と。これに対し、宮内庁の西村泰彦次長は20日の定例会見で、
次のように否定した(時事通信、5月20日、15時46分配信)。「お座りのままお見送りしたということはあり得ない」
「上皇陛下に対して極めて非礼で尊厳を傷つける。
宮内庁として極めて遺憾だ」。内奏は余人を交えず、1人だけで行う。
従って、この種の情報源は安倍首相本人以外には考えられない。
一方、宮内庁サイドは、よほど事実の確信がなければ、
このような公表はできない。つまり、上皇陛下が内奏の際に“座ったまま”見送られたという事実はなかった。
でなければ、「極めて非礼」「極めて遺憾」という強い表現は出て来ない。
にも拘らず、先のような報道が行われた。安倍氏が嘘をついたか、同氏から話を聴いた人物(官邸幹部)が嘘をついたか。
官邸関係者は「首相はそのような発言はしていない」と述べたようだ。
だが、毎日新聞が取材もしないで全く虚構の記事を書いたとは、
さすがに想像しにくい。
誰が嘘をついたのか。
安倍氏の周辺が、この種の嘘を“敢えて”つく理由も、想定しづらいのだが。これだけ非礼な発言が報じられたのに、
安倍氏サイドから発言を否定することも、
宮内庁が“問題視”するまで、特になかった。
本当に「発言はしていない」のなら、不可解。上皇陛下が譲位されてまだ日が経っていない。
なのに、許しがたい非礼、不敬と言わざるを得ない。
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