NHK「クローズアップ現代」を観た。 19歳だった娘に対する父親の性暴力に対し、 名古屋地裁岡崎支部が出した無罪判決。 なんでこのケースが「同意はなかった」けど 「抗拒不能だったとはいえない」になるのか、 そしてなんでこれが無罪になるのか、 さっぱりわからなかった。 じゃあ被害者はどれだけ抵抗すれば いいんですかね? 殴られたり蹴られたり、それでも果敢に 立ち向かう姿勢を見せろ!ってことなの? いや、むしろ出演者のSpring代表理事の 山本潤さんが指摘していたように、 より考慮すべきは、相手との関係性だろう。 対等な関係であればNOと言えることでも、 上司や先輩や親に、なかなかNOと言えない。 そんなことはままある。 仕事を干されるかもしれない、 厳しい職場環境に追い込まれるかもしれない、 帰る場所を失うかもしれない、 ほかの家族が苦しむかもしれない、 私さえ我慢すれば・・・と。 性暴力だって、そうした上下関係の中で 生まれてくる。 「NOと言えないほうが悪い」のではなく、 立場を利用して何かを強要、強制 するほうが悪いのだ。 もう一人の出演者である弁護士の宮田桂子氏は、 「検察が裁判官に対して“黒”と思わせられなかった ということ」 と、無罪判決を検察の力量不足にしていたけれど、 そりゃ六法全書的にはそうなんだろうけど、 「相手との関係性」という観点から見れば、 中学生の頃から性的暴行を加えていた父親は、 父親というだけで子を支配できる立場 なのだから、黒も黒、真っ黒だ。 ちなみに今年の3月だけで、性的暴行を 受けたにもかかわらず無罪判決になった ケースは4件あるという。 今回の番組で取り上げられたケースとほぼ同時期、 静岡地裁が出した無罪判決は、12歳の長女に父親が 2年間にわたって性行為を強要していた。 長女の証言が変わっていったこと、 家族の誰も気づかなかったことから、 被害者の証言に信頼性がないとして無罪。 でも父親の携帯電話には 児童ポルノ動画があったので罰金10万円。 なんだ、このちぐはぐ感。 なんで娘への性行為の強要が無罪!? 証言が変わっていったのだって、長女の心理状態が 不安定だったことも十分考えられるのに。 これじゃあ加害者側はやりたい放題じゃないか。 やったもんがちになっちゃうじゃないか。 裁判官がおかしいの? 今の法律がおかしいの? 抗拒不能状態をより厳格に定めることって できないの? 少なくとも、被害に遭った女性の心理状態が 十分に考慮されないのはおかしい。 レイプは「魂の殺人」。 性暴力に及んだ時点で殺人罪に問いたいくらいだ。 性犯罪については、どうしても 「疑わしきは被告人の利益に」なんて 生ぬるい!!!と思ってしまう自分がいる。
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