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小林よしのり
2019.4.20 11:44日々の出来事

朝日新聞を読んで考えたこと

朝日新聞を読んでいて、様々なことに疑問が浮かんだ。

〇「令和」の考案者は中西進だと特定している。
わしには何で考案者名を知りたがるのか分からない。
元号は「公」のものだから、「個人名」は必要ないの
ではないか?
民主主義の信奉者は秘密はいけないとして、何でも
かんでも暴露したがる。
確かに権力者が国民を騙そうとしているときは、
大いに秘密を暴いていいのだが、元号の発案者を
知りたいと、わしは思わないのだが。

〇その中西進のインタビューが大々的に載っている
のだが、「令はうるわしさ」だと言っている。
漢字は象形文字だから元の絵・図柄があるはずで、
「令」は冠の下で人がひざまずく図だろう。
つまり王様の命令に跪く、神の命令に跪くのが「令」
の起源のはずで、神や王様の命令は「うるわしい」
という意味合いから令嬢も出てきたはずだ。

〇中西氏は万葉集の「海ゆかば」を軍国主義に利用
された悪しき歌のように思い込んでいるが、わしは
そうは思わない。
日の丸だって、君が代だって、国家と国家が戦争に
なった場合は、利用されるのが当たり前だ。
例え、グローバリスムと言われる世の中になっても、
国家という概念は乗り越えられない。
国家国民の統合の象徴として、何かが利用された
からといって、それを否定するのは幼稚である。

〇アイヌが先住民族に認定される新法が成立したと
朝日新聞は報道しているが、だったら琉球民族も
認めるのだろうか?
熊襲や隼人や蝦夷は同化されたから、無視でいい
ということなのか?
「ワンドロップルール」の民族血統主義を讃美し、
「多様性」の旗のもと、国家で保護・厚遇すること
自体に疑問を持つ人々の声は封殺される!
朝日新聞はもっと哲学し、思想すべきではないか?
「少数意見」も「多様性」も、朝日新聞は実は無視
しているではないか!

〇荻生田氏の「消費増税延期」の提案を、朝日新聞は
緊縮財政派だから、「個人の見解」として片づけたい
のだろうが、果たしてそれでいいのだろうか?
赤旗も取り上げたのだから、藤井聡氏の意見を読者
に紹介したらどうだ?

このように朝日新聞を読んでいると、次々に考える
ことが浮かんで面白い。
ネットなんかで情報を収集していても、自分の頭で
考える習慣がつかないだろう。
新聞はやはり大切なのだ。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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