順天堂医院院長、天野篤氏。
天皇陛下の心臓の冠動脈バイパス手術に当たられた。陛下の印象を次のように語られている。「外科医としてこれまで大勢の方々を診(み)てきました。その中には高名な方もいれば、偉い政治家の方もいます。ただ、陛下ほど『自分なんかが話していいのだろうか』と思った方はいません。
オーラという表現ともちょっと違う。自己の利益を考えず、常に国民のために尽くそうとなさってきたことが自然と外面に現れている。それが他の方にはない特別な存在感となっているのでしょう」と。更に、ご手術の際の皇太子殿下のご様子についても。「手術の際には、美智子様だけでなく、皇太子殿下からも熱心にご質問がありました。
殿下は周囲から手術の内容について話を聞いてきただけではなく、ご自身でも勉強してこられた
という印象を受けました。当時、皇太子殿下は国事行為の臨時代行をお務めでした。そのご公務に、強い責任感を持って臨んでおられることが伝わってきました」と。
貴重な証言だ。