皇位の安定的な継承について政府はどのように考えているのか。
去る3月20日の参院財政金融委員会での安倍首相の答弁に、
それが明確に示されていた。
当日の速記録(未定稿)から紹介する。「安定的な皇位の継承を維持することは
国家の基本に係る極めて重大な問題である」「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの
重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」「旧宮家の皇籍復帰等々を含めた様々な議論があることは
承知しておりますが…国民のコンセンサスを得ることも必要であり、
十分な分析、検討と慎重な手続が必要である」ここで注意すべきは、
一先ず“男系継承の重み”を強調しながらも、
それをストレートに制度化するという話にはならず、
「慎重かつ丁寧に検討を行う」として、
女性天皇や女系継承の可能性を排除するとは、
一言も述べて“いない”点だ。更に旧宮家案については、
「国民のコンセンサスを得ることも必要」と
“慎重な”姿勢を見せている。こうしたスタンスが基本にあるから、
「(11宮家の皇籍離脱という)GHQの決定を覆す
ということは“全く”考えていない」とか、
「皇籍の復帰では“なくて”皇位の継承について
そういう考えで進めてまいりたい」
といった発言に繋がっていると理解できる。これらに、3月18日の参院予算委員会での、菅官房長官の
「皇族数の減少等については、皇族方のご年齢からしても
先延ばしすることはできない重要な課題である」という発言を付け加えると、
この問題を巡る政府見解のほぼ全体をカバーできるだろう。
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