安倍首相は国会で、
有効求人倍率の高さを自分の手柄のように、繰り返し自慢している。あたかもアベノミクスの成果であるかのように。だが、実態はどうか。既に以前から以下のような指摘がある(中原圭介氏、平成28年)。「有効求人倍率については、アベノミクスによって有効求人倍率が上昇したわけでは決してありません。…日本の総人口は2008年の1億2808万人をピークに少しずつ減少していますが…生産年齢人口(15歳から64歳)は…総人口と比べても減少率が高く、(2015年の時点で)7708万人にまで減少しています。これは2012年から2014年の3年間に団塊世代が65歳に達するようになり、その減少数が大幅に拡大していたためです。アベノミクス以前の2010年から2012年の3年間で、生産年齢人口は132万人減少していたのに対し、アベノミクス以後の2013年から2015年の3年間に実に310万人と2倍も減少していたというのですから、人手不足になるのは当然のことであったと言えるでしょう。生産年齢人口の急激な減少を背景に、2012年以降は失業率が徐々に低下し、有効求人倍率が上昇するのは、初めからわかっていたというわけです。おまけに、多くの中小企業はこの構造的な人手不足のために、たとえ今の採用に結びつかなくても、将来の採用もにらんで無料のハローワークにおける求人を積み上げています。少子高齢化によって求人数が必要以上にかさ上げされているので、有効求人倍率は実態より高めに出る性格を持っているのです。…労働人口が減少の一途を辿るという、新しい経済のパラダイムのもとでは、たとえ景気が芳(かんば)しくなくても、有効求人倍率の上昇は起こり得る現象となりつつあるように思われます」要するに、歴代の政権が少子化対策に“失敗”して来た結果に過ぎない。安倍首相自身はその事実を知った上で、敢えて国民をペテンにかけようとしているのか。それとも、このような基本的な事実すら
理解していないのだろうか。