宮内庁は1月31日、天皇陛下のご譲位後の
皇室の方々のご公務の分担について、発表した。皇族の減少と高齢化によって、これまでと同様のやり方を維持するのが、既に無理になっている。憲法上の義務である「天皇の国事行為」を除き、それ以外のご公務は、基本的に国民の側からお願いし、皇室の方々がお気持ちで行って戴いているものが殆ど。「天皇の3大行幸(天皇・皇后の3大行幸啓)」など、恒例化している行事も性格としては同じ。そこを勘違いしてはならない。だから原則として、いくらでも減らして戴く事は可能だ。しかし、ご公務を削れば削るほど、国民との接点は失われる。社会における存在感も縮小せざるを得ない。だが、減らさなければ、皇族方のご負担が過大になってしまう。その一方で、時代の推移、社会の変化と共に、今後、新しいご公務が求められる可能性もある。皇室は難しい局面に立たされている。御代替わりに当たり、皇室が抱える難題について、国民は見たくない現実から目を反らすのではなく、改めて深く考えてみるべきだろう。―なお私の1月31日のブログに「天長節(てん“き”ょうせつ)」と記していたのは勿論、(てん“ち”ょうせつ)が正しい。天長の語は漢籍の『老子』に「天長地久」とあるのに由来する。シナ唐の玄宗が、誕生日を「千秋節」と名付けていたのを748年に改めて「天長節」と称した(『旧唐書』玄宗紀)のが初め。わが国では奈良時代の宝亀6年(775)に、光仁(こうにん)天皇(49代)の勅によって、同天皇の誕生日を「天長節」と名付けたのが初見。