あるテレビ番組からコメントを求められ、
内容も確認した後、当日になって急にボツの連絡が来た。「皇統を守るためにはどんな手立てがあると思いますか?」という直球の質問。私はおよそ以下のように答えていた。過去の天皇の半数近くは天皇の正妻以外の子だった。歴代の天皇の正妻の4代に1代は男子を生んでいないとされる。常識的に考えても、たったお1方の正妻が代々“必ず”お1方以上の男子を生む事は、想定し難い。つまり、これまで「側室」の制度が「男系限定」を支えて来た。その側室制度を自覚的に廃止されたのが昭和天皇だった。今の皇室典範では、明治の典範と違って、万が一側室の子がいらしても、皇位継承の資格は認められない。従って、皇統を守るためには次の二者択一しかない。(1)これまでの男系限定を維持するために側室制度を復活し、側室の子にも皇位継承資格を認める。(2)側室制度の復活はあり得ないので、男系限定を見直す。この2つのどちらか。しかし、予想し得る将来において、側室制度が復活する可能性は、皆無に近い。皇室ご自身も国民の圧倒的多数も認めないだろう。そもそも、側室になろうとする未婚の品位ある女性が、今後遠い未来まで、何人も現れ続けるとは考えられない。ならば、(2)を選ぶ以外に手立てはないはずだ。…ひょっとして、「正妻以外の子」とか「側室」などという表現それ自体が、“テレビ的”にマズいと判断され、敬遠されたのか。まさかとは思うが。皇統の将来を考える場合、歴史をリアルかつシビアに振り返る必要がある。その歴史上の事実を“客観的”に指摘したに過ぎない。言う迄もなく、現代の価値観で過去の側室制度を非難するような意味合いは、そこには全く含まれていない。にも拘らず、こうした表現まで神経質にタブー視して、排除されてしまうとすれば、
皇統についてまともな議論は出来なくなる。