今上陛下の即位後
“最初”の国事行為は何だったか。「平成」という新元号に改める政令を“公布”される事。具体的には「公布文」に自らご署名の上、侍従に御璽(ぎょじ)を押させた。その内容は以下の通り。「元号を改める政令をここに公布する。御名(ぎょめい、今上陛下のご署名)御璽昭和64年1月7日内閣総理大臣 竹下登」ところが安倍首相は、5月1日に即位される新天皇から、この国事行為を“取り上げる”つもりだ。ご即位1ヶ月前の4月1日に新元号の政令を閣議決定し、今上陛下(!)に次の天皇の時代の元号を“予め”公布して戴くと。何ともツジツマの合わない、無礼な話ではないか。産経新聞(1月5日付)の記事(阿比留瑠比記者)にこうある。「政府内にも(新天皇にご署名戴く為に―引用者)新元号の政令署名(正確には政令ではなく“公布文”にご署名―引用者)、公布は5月1日でも、実際の改元は5月2日からでいいとの主張もあった。…しかし、そうなると新天皇が『平成』とかぶったり、『平成』で政令に署名したりという矛盾が生まれる。天皇と元号を不可分とする『一世一元』とかえって整合性がとれなくなる」と。これは恐らく、首相サイドの説明をそのまま鵜呑みにした記述だろう。だがお粗末過ぎる。先に紹介した「平成」への改元の公布文をよく見て欲しい。日付は「昭和64年1月7日」(平成への改元は“翌日”に施行)。「『昭和』とかぶったり、『昭和』で…署名したり」している。だが、それで何の不都合もなかった。「矛盾」だとか、「『一世一元』と…整合性がとれなくなる」などとは、これまで誰も“全く”考えていない。安倍首相やひたすらその代弁に努める産経新聞は、昭和から平成への今上陛下の改元は、「矛盾」した「整合性がとれな」いものだったと、今さら非難しようとしているのか。それとも、僅か30年前の事実を
綺麗さっぱり忘れ去ったか。