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高森明勅
2018.12.13 15:16皇室

皇太子・同妃両殿下のご「研鑽」

今年2月23日の皇太子殿下
のお誕生日に際しての記者会見で、
以下のようなお言葉があった。
 
「昨年の誕生日会見でもお話ししたとおり、
陛下のビデオメッセージを厳粛な思いで
拝見いたしましたし、陛下のお考えを
真摯に重く受け止めております。

また、長きにわたり一つ一つの行事を
大切に思われ、真摯に取り組まれる
お姿を間近に拝見してまいりましたので、
『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』
の施行日が決まったことを受け、改めて、
両陛下のこれまでの歩みに思いを致すとともに、
深い感慨と敬意の念を覚えております。

今後とも、両陛下の御公務に取り組まれる
御姿勢やお心構え、なさりようを含め、
そのお姿をしっかりと心に刻み、
今後私自身が活動していくのに当たって、
常に心にとどめ、自己の研鑽に励みつつ、
務めに取り組んでまいりたいと思います」
 
又、去る12月9日の
皇太子妃雅子殿下のお誕生日に際しての
ご感想には以下のようなお言葉があった。
 
「この先の日々に思いを馳(は)せますと、
私がどれ程お役に立てますか心許ない気持ち
も致しますが、これまで両陛下のなさりよう
をお側で拝見させていただくことができました
幸せを心の糧としながら、これからも両陛下の
お導きを仰ぎつつ、少しでも皇太子殿下のお力に
なれますよう、そして国民の幸せのために力を
尽くしていくことができますよう、
研鑽を積みながら努めてまいりたいと思っております」
 
両殿下は共に、天皇・皇后両陛下の
お心構えやなさりようから深く学ぶ、
というご姿勢で一致しておられる。
 
更に、「研鑽」という同じ語を用いて

おられる事実も見逃せない。

 

妃殿下の「研鑽」も殿下と同じく
「自己の研鑽」との含意だろう。
 
「自己の研鑽」とは、改めて言う迄もなく
「自己を磨き、向上させること」を意味する。
 
こうした語を敢えて遣われ
た両殿下の謙虚さ、誠実さに胸を打たれる。
 
妃殿下の奥ゆかしさが表現されているのが、
「少しでも皇太子殿下のお力になれますよう、
そして国民の幸せのために力を尽くしていくことが
できますよう…」と、皇太子殿下をお支えする務めを
先に置かれた箇所だ。
何故なら、皇室において第一義的に

「国民の幸せのために力を尽くしていく」のは、
「国民統合の象徴」でいらっしゃる天皇であり、
他の皇族は、そうした役割を担われる天皇を
お支えする事こそが、第一義のお務めだからだ。
 
天皇に最も近い位置におられる
皇后といえども、
その点に変わりはない。
 
ご聡明な妃殿下はご自身のお立場を
十分に弁えておられる。
 
皇太子殿下ご自身は今年のご会見で
「象徴天皇、そして公務の在り方」について
以下のようにおっしゃられた。
 
「過去の天皇が歩んでこられた道と、
そしてまた、天皇は日本国、そして日本国民統合の象徴である
という憲法の規定に思いを致して、
国民と苦楽を共にしながら、国民の幸せを願い、
象徴とはどうあるべきか、その望ましい在り方を
求め続けるということが大切であると思います」と。
 
国民は、天皇陛下のご譲位を控えた、
皇太子・同妃両殿下の責任感、使命感、
ご覚悟の深さに、気付かねばならない。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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