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泉美木蘭
2018.12.3 23:30日々の出来事

「名誉男性」にはもっと女が怒らなきゃ

午後からバタバタやることが増えてライジングの原稿にすごく
時間がかかった。やっと終わった。肩がこっている。

今朝の毎日新聞「経済プレミア」という有料デジタルサイトに
『本当の敵は誰なのか?「名誉男性」批判へのモヤモヤ感』
という記事があったのですが、これがなんだか妙にモヤモヤ
する内容でした。

作家のこかじさら氏が小林先生のブログを引用しながら書いた
「女性の本当の敵は、実は『名誉男性』かもしれない」
という記事に対する反論? らしいのだけど…

2年近く前の小林先生のブログから、

<女性なのに、男尊女卑の「男系原理主義者」になっている女を
「名誉男性」と言う。稲田朋美や櫻井よしこも、「名誉男性」
として、自称保守の懐古趣味オヤジのアイドルになってご満悦で
ある>

という文章や、杉田水脈議員を「名誉男性」認定した文章などを
引用したあと、「名誉男性」はアパルトヘイト下の「名誉白人」
に由来しているから、<差別と密接な言葉だ>と結んで、

“「名誉男性」って差別用語なんじゃないかしら~?”

みたいな雰囲気を匂わせている。

その後、上野千鶴子氏や斎藤美奈子氏らによる、
「名誉男性」というのはそれを作り出し、選び出した男社会
の問題なのだという意味の言説を紹介し、こう結論づけている。

<「名誉男性」が男性ばりに「大半の女性」を差別したり、
蔑視
したりすることがあるのはご存じの通り。
が、敵は他にもいる。
私のモヤモヤの正体は、「名誉男性」が
そんな女性を批判する言葉
として使われていることだった。

そこにとどまらず、「名誉男性」がのさばっている構造や背景に
思いをいたさないと、意思決定層の男性を喜ばせるだけではない
だろうか>

なんだか、どこに何を言いたいのか、輪郭がはっきりしなくて
読後にモヤモヤする記事なんだけど、簡単にまとめると、

名誉男性はたしかに問題ある存在だけど、
女が名誉男性になるのは社会のせいなんです、
だから名誉男性に向かって「名誉男性」なんて差別的な言葉で
批判しているだけなのは問題がありますよね、
だって社会のせいなんですから。

ということらしい。

これってすごく不思議な言い方だ。
名誉男性をおちょくってるだけじゃ何も変わらないぞ、
と言いたいのだろうけど、
そもそも「なぜ名誉男性になるのか?」という問いに対して、
その答えをあまりに「社会のせい」だけにしすぎなんじゃない?

あれって要するに女性としての感性や個人の考え方を貫くことが
できない、中身がない、政治家としての身過ぎ世過ぎのために
個人を捨ててしまう、自分を売ってしまう脆い人でしょう?

それが「男系原理主義者」の世間でチヤホヤされようとして、
男の血とY染色体こそ尊く、女は子供を産むためのものだ、
という一般的な庶民感覚とはまるでかけ離れた異様な信仰を
拝む「政治家」となり、平気で女性に不利な社会を目指す権力を
振るい出すから批判の対象になるわけで。

そもそも個人を貫ける女性がいなきゃはじまらない話を、
そんないつまでも構造や背景、社会のせいにしていて大丈夫
なのかなと思います。

杉田水脈なんて、女性からしたら超迷惑ですよ。
あんな、差別しただけでなくお仲間の男にかばわれて逃げる
ような女性が注目されるから、「女はやっぱりだめだよな」
となるわけで。
女性がもっと「この名誉男性め!」と怒らなきゃいけないの
じゃないかなあ。
彼女はこの社会が作ったのよ、と言ってて何か変わるのでしょうか?

と、ほとんど勢いで書きましたが、
5日(水)夜9時からの生放送の議題のひとつにどうでしょう。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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