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高森明勅
2018.11.15 17:16皇室

憲法学者、長谷部恭男氏の講義

11月14日、第6回立憲民主党
「安定的な皇位継承を考える会」に参加した。
 
今回のゲストは憲法学者の長谷部恭男氏。
 
集団的自衛権を認める法整備の際に、
自民党の推薦枠で国会に招かれながら、
安保法案を「憲法違反」と述べて大騒ぎになったのは、
記憶に新しい。
 
憲法学界では目下、
最高の権威者と見られているようだ。
 
明快かつ流暢(りゅうちょう)でとても聴き易い。
 
今回はメディアの記者も、
冒頭だけでなく講義終了まで傍聴を許可。
 
その中に、私が先日、
取材に応じた読売新聞の記者もいたようだ。
その時は気付かなかったが、後で挨拶をしてくれた。
 
質疑応答、自由討議の時間に移ると、
メディア関係者は退室。
 
女性皇族がご結婚後も引き続き
皇室のご公務を分担して戴くというプランに関して、
もしそれを義務化(=強制)するような制度を考えて
いるなら、それは明確に憲法に抵触すると言い切られた
のが印象的だった。
 
又、私が女性宮家創設の最大の弱点と考えている
ポイント(拙著『私たちが知らなかった天皇と皇室』
183ページ参照)についても、ズバリと触れられたのは
さすが。
 
但し、皇族は離婚できないと勘違いされていたようだ。
 
私が「皇室典範は皇族の離婚を予想しています」
と申し上げる(14条3項)と、「皇太子はどうですか?」
とのお尋ね。
 
「皇太子も『親王』という範疇(はんちゅう)で
一括して扱っています」とお答えした
(但し天皇の離婚は予想されていない)。
 
長谷部氏は、離婚できない等の理不尽な制約が
もし皇室にあれば、それ自体が皇族のご結婚の
ハードルを高め、安定的な皇位継承の妨げに
なりかねない、という問題意識を持たれているのだろう。
 
つまり、皇位の継承ルールとその周辺という、
狭い領域に目を向ける事だけに終始していては
駄目だ、と。
 
この着眼点は十分、傾聴に値する。
 
円熟した学者の風格を感じさせる
ヒアリングの場になった。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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