「かかりつけ医」という言葉は惑わされやすいですね。
日本では
「いつも子どものことでお世話になっている〇〇小児科」とか、
「私は△△先生にいつもお薬出してもらってるのよ」とか、
一般的な《町の開業医》のイメージがあるので、
「かかりつけ医ならうちにもいる」と思うかもしれませんが、
小林先生が警告された、議論に上がっている「かかりつけ医」は、
自分で自由に医者を選ぶことのできないヨーロッパの医療制度に
存在する医者のことです。
イギリスでは「家庭医」、ドイツでは「ホームドクター」。
「GP」(General Practitioner)と称されていて、
日本語に訳すと「総合診療医」になるようです。
日本では、いつでもどこでも自由に病院を受診できる
制度があることは何度も書きましたが、
OECDから、不必要な専門医受診を防ぐため、
「総合診療医」の数を増やすように勧告されています。
日本医師会は反対してきたそうですが、2017年から、
高齢化対策という理由もあって「プライマリ・ケア」
という名で総合診療専門医が導入されています。
「病気予防を広め、家族の悩みを包括的にケアする」
と言われれば聞こえは良いし、確かにそのような面も
ありますが、
実質は患者と専門医を遠ざける仕組みを作り、
「自由に病院に行かせない」ためのゲートキーパーの
役割になっていくのではないかと不安です。
たいした症状でもないのに病院にたむろされては困る、
というのは素人にだってよくわかりますが、
だからと言って、ヨーロッパのような医療制度への変革
をこっそり目論まれたのではたまったもんじゃありません。
日本とヨーロッパでは、医療制度も医療費の徴収方法も
まったく違いますし、国民性もまるで違うのに、
《それがグローバルな基準》
ということで受け入れなければならないのでしょうか。