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笹幸恵
2018.9.14 23:18政治

どっちが非常識だよ

今日の自民党総裁選の討論について、産経新聞が
安倍首相、自衛隊をめぐる石破茂氏の主張に「非常識」
と題してネットでその内容を配信していた。

一体何が「非常識」なのか。
石破氏は、首相が自衛隊について、
国内では実力組織、国際法的には軍隊だと
説明したことに対し、こう言ったのだ。

「必要最小限度だから戦力ではない
という考え方は国民の理解を妨げる。
国内においては違うが、国外においては
軍隊だという議論は国際的に
全く通用するものではない」

非常識でもなんでもない、石破氏は
至極真っ当な指摘をしている。

ところが安倍首相は、それに対して
こう切り返してみせている。

「重要なことを言った。自衛隊が国際法的に
軍隊ではない、ということを日本の首相が明言すると、
自衛隊がハーグ陸戦条約、あるいはウィーン条約、
ジュネーブ条約などから外れてしまう」
「国際社会的には十分軍隊として認められている。
イージス艦を数隻も所有し、5兆円も防衛費を
使っている。それが軍隊ではないということは、
国際社会的にはその方が非常識なのではないか」

ここ、話がすり替えられているのが
わかりますでしょうか?

石破氏は自衛隊の位置づけが国内と国外とで
違うのはおかしい、そうした位置づけなど
国際法的に通用しない、と言っているにもかかわらず、
安倍首相は「自衛隊が軍隊でないなどというのは
国際的には非常識」と論点をすり替えているのです
(誰もそんなこと言っていないのに)。

安倍首相のおっしゃる通り、国際社会的には
十分軍隊として認められている自衛隊。
ならばなぜ、国内で「実力組織」のまま
憲法に自衛隊を明記するの?
明記したって実力組織であることには変わりない。
安倍加憲案は、それを固定化するってことですよ?
そもそも自衛隊が軍隊ではなく実力組織だと
言っているのは安倍首相のほうでしょうが。
これこそ非常識ってもんです。

石破さん、そこ、突っ込んで!!!

公明党への配慮とか、実現可能性とかいうけど、
本来あるべき姿を語り、言葉を尽くして
国民を説得する努力をしないのなら、
ただ逃げているだけ、怠慢に過ぎない。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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