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泉美木蘭
2018.9.1 11:36日々の出来事

圧力かければ「理想」は得られるか?

今朝の東京新聞に、医大の女子減点の件を、
パターナリズムだと批判する投書がのっていた。
もちろん入試の方法として受験させておいて、
黙って勝手に点数操作するのは間違っていると思う。
ただ、
「女にはどうせできっこないんだからやめときなさい」
という、父権主義的な感覚で女子の入学を阻んだのだ
という理解は、現実とかけ離れていて、
思い込みが強すぎるんじゃないかと思う。
まず先に、男女の診療科目選択の分布が「理想形」に
ならなかったという現場の現実があるわけでしょう。

大学病院=「白い巨塔」=男の権力ヒエラルキー
みたいな世界だってたしかにあるだろう。
うちも父親が現役の教授だったとき、教授選が近づくと
医学部の先生がドラマのような政治的な動きをしている
という話をよく聞いたから、いろいろ渦巻いてるという
のは理解できる。

だけど、すべてその“ドラマのイメージ”に囚われて、
医師不足の現実の現場の様子、
皮膚科や眼科など人生計画を立てやすい職を選ぶ女医、
激務をこえて“酷務”みたいな働き方になっている割に
給料が安い勤務医、
赤字経営の病院の増加・・・
全国いつでもどこでも何度でも病院にかかれる日本の
優れた国民皆保険制度のために、ぎりぎりのバランスで
働いて回してくれている医者の現実をまずよく精査する
べきだと思う。

大学に圧力をかければ「理想」は実現するんだろうか?
「大学の意見を擁護する言説など『女性差別だ』と
罵って叩き潰してやるぞ」
という風潮ができて、具体性のある議論が行われなく
なるのが、一番公益から遠ざかると思う。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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