寿命が妙に長くてなかなか死ねないまま
80代になって、とうとう病気にかかり、
でも自宅介護は家族に負担をかけるし、
かと言ってお金がたくさんあるわけでもない
そこで、
診療報酬が引き下げられてジリ貧で、
あちこち施設が老朽化していて、
医師も看護士も不足しているからなんだか行き届かないけど、
「とにかくあそこは安くて助かる」とご近所で評判の
終末医療専門のみとり病院に入院して
大部屋のベッドに横たわり、
管につながれながら、
ふと窓の外に目をやると、
そこには
不動産バブルが崩壊し、ゴースト化していたビルが
金持ち向けの介護付き高齢者向けタワーマンション
としてリニューアルされ、
優雅な貴族老人たちの終の棲家となり
そびえたっている
「あんな高い建物のおかげで、死に際に花火も見えないな」
そんなことをぼんやり思いながらの、
花火大会の夜
酷暑のなか、
ぼろぼろの病院のエアコンが壊れて、
熱中症で死ぬ。
そんな未来が、
この先どこにでも訪れる可能性があるんだよと
お知らせする事件かもしれませんね。