安定的な皇位の継承。
圧倒的多数の国民はそれを望んでいるはずだ。天皇陛下のご譲位を巡り、各種の世論調査で一貫して、約9割の国民がご譲位の恙無い実現を願ったのも、その確かな証左だろう。しかも、それは憲法の要請でもある。憲法は、天皇を日本国及び日本国民統合の“唯一”の「象徴」と規定。その安定的な「世襲」継承を前提として、13種類の重大な「国事行為」を定める。国事行為の委任や摂政の規定をわざわざ設けている事実からも、憲法が予想する国家秩序において、天皇の役割がいかに重大か、十分に察する事が出来る。ところが憲法に付属する皇室典範では、奇妙な事に皇位の継承を困難にする制度が、敢えて採用されている。明治の皇室典範で、皇位の継承資格を前例の無い「男系の男子」に限定した時、既に将来への懸念が表明されていた。皇位継承の安定性が損われかねない、と。しかし、その時は「側室制度があるから」「庶出(非嫡出)にも継承資格を認めるから」という理由で、そのまま制度化された。しかるに現代はどうか。既に側室制度は無い。今の典範自体も非嫡出の継承資格を認めない。にも拘らず、明治典範と同じ限定が維持されている。これでは皇位の継承は不安定化する以外にない。現に、皇太子殿下・秋篠宮殿下の“次”の世代で継承資格を持つのは、悠仁親王殿下お一方のみ。憲法と典範が致命的に不整合。ならば憲法の要請に従って、付属法の典範を改正するのが当然だ。現在までそれが先送りされ、放置され続けて来たのは、
極めて異常と言う他ない。