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泉美木蘭
2018.5.17 01:20

80代のみなさんから教わっていること

きのうは生放送前にすきっ腹にモスコミュールを2杯ほど
いただいて愉快な気分になっていたのと、
今日は笹さんがいるからもう大丈夫だ、という心強さとで
ずいぶん気楽になっていた。恥ずかしい。

生放送の前に、80代で現役の女性イラストレーターの方と
お会いして書籍用の談話をうかがっていた。
20代の頃、バーで無邪気にキャッキャと振舞っていたら、
常連客から苦言を呈されたという話が印象的だ。

「お酒を飲むところにいくと、女の人ってわりと遠慮がなく
なっちゃうじゃない? 私なんてなんにも考えてなくってね、
酔っぱらって調子に乗って、無責任なことを言ったりしてた
んだけど、『女の人だから』ってちやほやされたりするのよ。
でもね、いろんな人の心情があるんだなって思ってね、
女が甘えていい気になって喜んでるって思われないように
しなきゃなとか、男の人たちの心情ももうちょっと考える
ようにしなきゃいけないなって。
あんまりのびのび振舞ってたらいいってものじゃないんだ、
ってお勉強させてもらったのね」

恥ずかしい…。
わが身を恥じるとともに、飲み屋に入ってくる男性のなかには、
背中に折れた矢が刺さっているように見える人がいるのだけど、
女性にはそういう人がいないな、なんでだろうとずっと思って
いた。その疑問にどこかつながっている話のように感じた。

毎日いろんなクリエイターさんや元編集者の方とお会いしたり
電話でお話したりしているのだけど、戦前生まれの方も多い。
70代半ばから80代の方は、画家も写真家もアートディレクター
もヌーヴェルバーグの影響を受けたという方がほとんど。
着想を受けたいろんな作品の名前が出て来るので、原稿を書く
ためにそれをまた観たり読んだり…。

80代にもなれば、もうゆっくり生活されているのかと思いきや
みなさん一様にものすごく忙しくて、締め切りや展覧会の準備
をかかえておられたりする。
インタビューはあと4人で、うちおふたりは84歳、81歳。
誰でもどこかで見かけている作品をいまでも描いている方々だ。
なかなかつかまらないので展覧会
に押しかけ。

毎日毎日ずっとコツコツやることなんだよ、と。
自分の仕事に感謝と誇りがあるから働きものなんだと思う。
そういうわけで、今朝は7時からテープ起こしをしていた。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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