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泉美木蘭
2017.12.12 13:20

自民党本部が大量購入・配布中のインチキ本1

自民党本部が大量購入し、各県連や議員事務所に配布している
「モリカケ逃れのバイブル」とも言うべきインチキ本。
ただひたすら安倍晋三を擁護するために、常人の想像を軽やかに
スキップしながら
度外れたウルトラ屁理屈をひねり出し、

「森友・加計事件は朝日新聞の戦後最大級のねつ造」と謳っている。
先週のライジングで配信したものを、ブログで少しずつ転載する。


 
安倍首相の太鼓持ち・小川榮太郎氏10月に出版した
「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」。
産経新聞を中心に大々的に宣伝され、発売たちまち
9
万部に達していると
いう。


ネトウヨのニーズにマッチしたこの本は、
Amazonの「政治カテゴリ」で
ベストセラー1位を維持。
「朝日新聞の陰謀論を待っていた!」と言わん
ばかりのベタ褒め“5つ星”レビューが大量に書き込まれている。


ネトウヨが恥部を慰撫するだけの本ならまだ良いが、
問題は、この本が、
自民党にとって「モリカケ追及逃れのバイブル」になっていること
だ。
小川氏は、過去にも安倍首相のヨイショ本を自民党に大量購入して貰って
いるが、今回の本も自民党本部が大量に買い上げ、各県連や議員事務所に
配布しているという。石破茂と、その地元・鳥取県には届かないらしいが。

実際、この本が出てから、安倍、麻生ら閣僚をはじめとする自民、維新の
議員らが次々に
「モリカケは朝日新聞が煽った」と寝ぼけたことを言いは
じめた。一体なにが書かれているのか?

 

◆安倍晋三の人権に寄り添う小川氏

「安倍晋三は『報道犯罪』の被害者である」。
これが、本書の一行目に書かれている文章である。いきなりの被害者目線
に度肝を抜かれるが読んでみる。安倍夫妻と籠池夫妻、加計孝太郎氏らと
の個人的な関係と優遇をとりあげたマスコミの指摘を小川氏は「個人攻撃」
とし、こう綴っている。

 

政権批判は必要であり、安倍の側も、権力者として通常人を遥かに超える
監視や批判に耐えねばならない。が、総理としての権限行使から一歩離れ
れば、
安倍もまた、人権を保障されるべき一個の弱い人間に過ぎない。

 

いやいや。

総理としての権限行使から一歩離れれば、そりゃ安倍晋三も一個の弱い
人間なのは間違いないが、いまは、その権限の不適切な行使そのものが
問題視されているんだから、勝手に権限行使から離れないでほしい。

安倍のお仲間のために、権力が公平性を欠いて濫用されてしまっている
実態にスポットライトが当てられているのに、その焦点を、お腹をさす
りながらつらい顔をしている「弱い一個人・しんぞうくん」にすり替え、
さも国家レベルのいじめが行われているかのように語るのは、恣意的な
矮小化である。

 

証拠もなく、風評だけで、どんな誹謗中傷でも総理なら耐えろと要求
するのは、深刻な人権侵害であり、
権力批判として許容される範囲を
超えている。

 
いやいやいや。
メディアは誹謗中傷が目的で安倍を叩いているわけではないし、
誰も「総理なら耐えろ」なんて要求していない。
「総理なんだからちゃんと説明しろ」と言っているのだ。
説明すべきことを隠蔽し、ごまかし、記憶も記録も廃棄するから、
つっこんでいるだけ。

 

半年に及ぶ「安倍叩き」の間、安倍による不正、権力濫用の物証は
ただの一つも発見されなかった。

 
いやいやいやいや。
発見されなかったのではなくて、隠蔽、廃棄したのだ。

小川氏は、まるで左翼かと見まごうほどひたすら被害者目線で安倍に
寄り添い、「安倍の人権」を語る。
その一方で、北朝鮮のミサイル発射などの「脅威」をとりあげ、
マスコミの行為を
「国民の生命や国土の保全を踏みにじる、戦後最大
の国民への背信行為ではあるまいか」
とぶち上げた。

北朝鮮という外敵の存在を持ち上げて恐怖を煽り、国内の権力の暴走
に目をつむり、権力を支持せよと騒ぐ。
人を恐怖で支配する危険な思想だ。


だいたい、そんな国家的な危機に直面して「ミサイルが発射されたら
北朝鮮側の壁にへばりつくか、側溝の中にはいつくばれ」などと国民
を煽っておきながら、のん気に解散総選挙に打って出たのは安倍じゃ
ないか。
小川氏は、この安倍による「国民の生命や国土の保全を踏みにじる、
戦後最大の国民への背信行為」をどう説明するのか?


ざっと目を通すつもりだったが、最初の2ページで次々とトンデモ文
が飛び出してくる。おかしな箇所にエンピツで線を引きながら読んで
いったら、いきなり線だらけになって、どこが重要なのかわからなく
なってしまった。

 (つづく)

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泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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