ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2017.12.5 07:15

三浦瑠麗氏の“上から目線”女性議員評がひどい

PRESIDENT Onlineの記事で、三浦瑠麗氏が
「超エリート女性代議士がつまづくワケ」と題して
稲田朋美、蓮舫、豊田真由子、今井絵理子、山尾志桜里を並べて
かなり失礼な分類表を作っている。

http://president.jp/articles/-/23810

三浦瑠麗氏いわく、山尾議員は自分自身の思想信条ではなく、
男のボス政治家や党に合わせて働く「侍女タイプ」の「噛ませ犬」
なのだそうだ。
三浦瑠麗氏から見ると山尾議員は「過剰に攻撃的で清廉潔白」で、
「人間・山尾」ではなく「党の都合によっていささか無理な役割を
演じていた」ように見えるらしい。
山尾議員のイメージカラーである青のスーツも、そのための色だと。

民進党時代の山尾議員の働きは、それだけの実力と行動力があっての
こと、誰かに操縦されて動いていたのではなく、「任された」のだ。
元検事としての訴追、追及の能力と技術に長け、法案について理解し
徹底的にやれる専門的な知識があったからだ。

山尾議員は、待機児童問題に取り組みながら、
水面下で天皇陛下の生前退位に関して皇室典範特例法の作成のため、
調整役、説得役としてずっと動いてくれていた。
ゴー宣道場でも、皇位継承について、通りいっぺんの詰め込み知識
ではなく、ご本人の血肉になった、想いのある言葉で語ってくれた
ことがとても印象的だった。

その一方で、国会では共謀罪の審議を担当していた。
頭脳に問題のある法務大臣を、舌鋒するどく追い詰める姿が連日
報道されていたから、その裏でほかの問題のためにも動いていた
なんて、世間の人々は知らないと思う。

さらに、立憲主義を守り、侵略戦争を防ぐための憲法改正についても
ずっと準備をしていた。最近メディアに発表された山尾志桜里議員の
改憲についての見解は、ごく一部のものであり、しかも先の総選挙後
に考えたような浅いものではない。
ずっと、水面下で、ほかの法案作成に携わりながら継続して準備して
きたものだ。

これだけの働きのできる実力のある議員が、ほかにどれだけいるのか?
女性だからという理由だけで「どうせボス政治家の侍女で、噛ませ犬」
と思い込む三浦瑠麗氏は、よほど女性議員を見下げているのではないか?

三浦氏は、「このハゲー!」の豊田真由子氏に対しても、
ボスザルのいるサル山(=男性議員の社会)で揉まれた経験がなく、
人格を磨かれていないので、惻隠の情がないのだ、などと、
わけのわからない見解を書いている。
女だから、あんな言動に出るのか?
あの事件が起きたとき、すぐに自民党の大物議員が、
「あんなの男の代議士にいっぱいいる」
と発言して話題になった。そりゃそうだろうな、想像がつく。

サル山で揉まれないと、人格が磨かれないなんて、いったいどんな
つまらない人間観なのか。
男社会に飛び込んで切磋琢磨する経験をしなくても、日々の生活や、
仕事、子育て、家事、お金の計算をしながらため息をついたり…
いろんな経験をして、たくさんの苦労をして、他人や親の心を知り、
深い人格形成をしている女性はいっぱいいるだろう。
それは議員であっても変わらないと思う。
権力志向や名誉欲、欲に溺れて自分の立場に勘違いすること、
そこに本人の暴力性が乗っかるのが問題で、女性も男性も関係ない。
三浦瑠璃氏は、あまりにも女性を馬鹿にしすぎだ。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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